100兆円突破はほんの通過点
だが手放しで喜べない投信残高の増

金融庁は「毎月分配型」投信を廃絶すべきだPhoto:stockpics-Fotolia.com

 公募の投資信託の残高が4月末に約99兆2千億円となり、100兆円の大台乗せが確実視されている。4月は2兆円増えているので、世界的な株価の大暴落でも起こらない限り100兆円は達成されるだろう。

 1989年のバブル末期でさえ60兆円だったので100兆円はそれなりに大きな数字だが、ほんの通過点にすぎないように思われる。日本の個人金融資産は昨年12月末で1694兆円あり、将来はこの20%と見て、300兆円以上あってもおかしくないと筆者は考えている。

 ただし、最近の資産残高増加要因は手放しで喜ぶことができるようなものばかりではない。

 昨年導入されたNISA(少額投資非課税制度)の残高3兆円の約6割が投資信託に投資されたことはいいとしても、日銀が最大の保有者であるETFの残高が約13兆円と昨年の倍になっているのを見ると複雑な気分だし(ETFはいい商品だが、日銀は適切な株主とは思えない)、ラップ口座を通じた残高が3兆円もあることには、投資家の愚かさと大手証券会社の営業力の強大さの両方が表れているように見える。

最新号の『週刊ダイヤモンド』(5月23日号)は「投資の鉄則」というお金の運用の大特集を組んでいる。この中の「専門家アンケート」で専門家5人中3人が「最も買ってはいけない金融商品」に挙げたのが「ラップ口座(ファンド・ラップ)」だった。理由は「金融機関に丸投げする高手数料コスト商品」だからである。

 ちなみに、買ってはいけない商品として他に人気(?)を集めた商品は、「個人年金保険」(「年金」の看板で投信を超える高手数料)、「毎月分配型投信」(投信をゆがめた、資産形成に不向きな仕組み)、「職場積立NISA」(まず金融機関ありきで、商品選択肢が制限)などだ。

 心当たりのある読者は、雑誌を買って、至急対策を取ってほしい。自分の選択の失敗を認めることさえできれば、対策は必ずある。~