市民記者が執筆・発信する「オーマイニュース」。2008年1月末までに4100人を超える「市民記者」達がニュースを執筆・発信する動機は何か?また既に、諸外国で普及した市民メディアの実力、さらに「オーマイニュース」日本版の今後の展開を3代目編集長 平野日出木氏に聞いた。

平野編集長
平野日出木(ひらの ひでき) 1985 年早稲田大学政治経済学部卒、日本経済新聞社入社。産業部、証券部、西部編集部にて記者。コロンビア大学で日本の政治・外交・産業を研究。産業部次長(本紙デスク)を経て2000 年退社。02 年カリフォルニア大学バークレー校MBA。フリーランス記者を経て06 年『オーマイニュース(日本版)』の創刊に編集次長として参画。07年12月より現職。主著に『「物語力」で人を動かせ!』(三笠書房)。

──何人の記者が、どれくらいの数の記事を書いているのですか?

 登録している市民記者は、今年1月半ばで4100人を超えました。男女比はおよそ8対2。30代が31%で最も多く、20代と40代がそれぞれ23%、50代以上が20%、10代以下が2%です。登録したけどまだ1本も投稿がない記者もいれば、これまでに300本以上記事を書いている人もいます。

 投稿記事の中には、完成度が低くて掲載できなかったり、修正要請を行って記者に差し戻したりする場合も多いが、編集部全体としては毎日30~40本の記事を新たに掲載しています。昨年8月末から、毎日10本、ヤフー・ジャパンに記事を送っています。

──市民記者が書く動機は何ですか。

 人によってまちまちですが、「団塊の世代」の記者からよく聞く動機は、「会社を定年退職した後も、社会につながっていたい」「仕事を通じて得た知識や経験を、記事を書くことで生かしたい」です。

 多くの人がもつ「文章で自分を表現したい」という願望は、最近はブログを書くことで満たされる面があると思いますが、オーマイニュースのような市民メディアは、ブログとは違う快感があります。

 第一に、社会的な反響です。批判、賞賛ともにありますが、自分の意見が社会でどのように受け入れられたのかを知ることは、書く励みになる。第二に、編集の手が入りますので、記事として完成度が高い作品に仕上がります。

 読者や編集者の意見を聞くことで、書き手は成長していきます。