スカイマークの
判断ミスとは?

社長の独断に異議を唱えられない「取締役会の責任」決断を誤って破綻したスカイマーク

 このところ、再生処理をめぐって、スカイマークが再び注目されています。航空機をリースしている米企業と多額の違約金を請求している欧州のエアバスが、再建案を拒否する構えを示しているからです。

 両社で債権額の過半数を超えるので、もし、このまま両社が再建案拒否を貫けば、民事再生法によるスカイマークの再建案はもう一度、練り直しということになります。再建のカギを握るANAが、スカイマークが発注した機材を引き継ぐことに難色を示していることなどが原因となっています。

 今回は、スカイマークの破綻に際して、何が大きな問題となっていたかということを、同社の財務諸表を分析しながら考えていきましょう。

 スカイマークはこのところ業績が振るいませんでしたが、同社が破綻した直接の原因は、エアバス社の大型機A380の6機の購入を決定したことです。これが一番の判断ミスです。

 業績好調時に1915億円で購入する契約を結んだのですが、業績が悪化し、支払いが滞り、エアバス社から解約を通知されたのです。同社の損益計算書を見ると、平成25年3月期に約47億円あった営業利益が、26年3月期には25億円の赤字となっています。それ以前には100億円以上の営業利益を出していたこともありました。

 損益の悪化がエアバス購入契約の解約の大きな理由であることは間違いありませんが、私は、スカイマークがA380、それもそれを6機も購入しようとしたことにもともと大きな無理があった、というよりは無謀だったと考えています。判断ミスを犯したのです。損益計算書だけでなく貸借対照表も見ないと同社の実力は分かりません。

 貸借対照表では、破綻直前の通年決算となる26年3月末の同社の総資産は787億円しかありません。その会社が1915億円もの買い物をすることに無理があるのです。