「残業」への不満はあまりない日本人
でも定時退社が一度浸透すると……

 一方、今回のアンケートでは「残業時間」に対する不満は9.4%と、全体で比較すれば、あまり大きいものではなかった。昨今、社員のワーク・ライフ・バランスの実現のため、残業ゼロや早朝残業などの取り組みを始める企業が大手などを中心に増加しているが、まだまだ日本では「残業=悪」と考える働き手は多くないようだ。

 しかし、実際に残業ゼロの仕組みを導入したことで、社員自身が「もう残業なんてしたくない!」と思い始め、“残業ほぼゼロ”を実現し続けている会社がある。それが化粧品メーカーのランクアップだ。

ランクアップの社員たち。岩崎社長は1列目真ん中。社員がほぼ全員定時退社ながら、売上を伸ばし続けている

 同社は、2011年の震災を機に、定時は8時半~17時半ながら仕事が終わっていれば「17時に帰ってもいい」という制度を導入した。

「震災前から社員に早く帰るよう指導はしてきましたが、なかなか定時に帰ってもらえませんでした。しかし、震災直後からサマータイムを導入し、定時を9時~18時から8時半~17時に変更し、時限的に30分就業時間を短縮したところ、すっかり浸透。3ヵ月後に定時を17時半に変更する日が来たときには、社員自ら『17時退社を継続してほしい』と言ってきたのです」(ランクアップ・岩崎裕美子社長)

 実際、「30分早く帰っていい」制度によって、社員には集中して働く癖がつき、制度を導入した年度は売上が前年の130%にアップ。その後も売上を伸ばし続けている。また、早く帰れることを利用して、資格勉強や運動に時間を充てたり、家族と過ごす時間を充実させる人が増えたそうだ。

定時退社なのに社員は不満爆発!
「評価制度」「改善提案」でグチを摘む

「17時に帰れるなんて、社員はきっと幸せだろうな」

 そんな風に思ったかもしれないが、同社の社員は決してそれで幸せになったわけでなかった。先ほど山元社長が指摘したように、当時の同社には「売上目標」もなく、「評価制度」が整っていないことで、社内はギスギスした雰囲気に。人間関係が悪くなる中、ある日、社員の不満が大爆発してしまったという。