そこで、岩崎社長は、まず会社の価値観である理念を「挑戦」に定めて、社員たちへの浸透を促した。そして、評価制度を導入。社員一人一人がどんな目標に向かって働いていけばいいのかを示した。

「これまで数値目標さえなかった部署の社員は『目標ができてうれしい』と言っていました。やりがいが生まれた瞬間だったんです。人生の難易度が上がる、といったところでしょうか。さらに、上司が評価するフィードバックの機会を設けることで、『自分が認められている』と感じてくれるようになりました」(岩崎社長)

オフィスで無農薬野菜の支給をはじめたが、これも社員からの改善提案によるもの

 また、その頃同社では社長や管理職に対する不満を影で口にする社員も増えていた。そんななか、岐阜県のメーカーである未来工業の制度をヒントに、2013年に『改善提案』という制度を導入する。これは、給与と悪口以外であれば、社員が社内の改善提案をすると一律500円が支給されるというもの。2014年度は271件が寄せられ、「2時間休~6時間休までの有給休暇の時間分割制度」、発想力を鍛えるための「書籍購入負担1ヵ月2000円」「無農薬野菜支給」などが今まで採用されたという。

 岩崎社長は「大したことのない改善提案も来ますよ」と笑うが、これによって社内の風通しは格段に良くなった。ささやかな希望も溜め込めばいつの間にか不満・愚痴になりやすい。それが改善提案になって出てくることで、「事前に愚痴を摘む」ことにつながっているようだ。

 先ほども挙げたように、昨今はワーク・ライフ・バランス実現に向け、「残業時間削減」の方策を取る企業が増えてきている。しかし、もともと残業時間に不満を抱く社員は少数派で、「残業ゼロ」「早朝残業」の導入が結果的に社員に喜ばれることはあっても、それだけで社員の不満は決してなくならない。それはランクアップの事例からも明らかだ。

 サラリーマンの会社への不満は、挙げたらキリがない。しかも、ある不満に的を絞って解決をしようとすると、やぶへびになり、解決が遠のく可能性もある。「給料」が不満なら単に給料を上げるのではなく、なぜ給料に不満を抱くのかを考える。「仕事内容」「人間関係」に不満なら単に仕事や部署を変えるのではなく、なぜそんな不満が生まれたのかを考える。会社側は、その理由を掘り下げていくことで、不満の正体を知って対策を講じ、優秀な人材が会社を突然辞める事態を防げるようになるのではないだろうか。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 林恭子)