普陀山だけでなく、中国の観光地はどこも過度の商業主義が問題になっている(中国の名山のひとつ黄山などは株式会社化して上海市場に上場している)。
2002年から国内観光振興のため、国家遊旅局が格付制度を始め、各地の観光地を5Aから1Aにランキングした。普陀山や黄山はもちろん最高ランクの5Aだ。
ところが最近になって、山東省や江西省など44カ所で4Aから1Aのランクが取り消され、瀋陽植物園など5Aランクの10カ所がランク取消しの次に重い「厳重注意」の警告を受けた。今年1月から春節期間にかけ全国の観光地で、のべ7万8000人を動員した実態調査を行なった結果、違法経営や観光客への詐欺、押し売りなどが確認されたからだという(2015年6月15日「日経新聞」夕刊)。
中国から大勢の観光客が海外に向かい、“爆買い”が流行語になる一方、国内旅行は低調で、省をまたぐ旅行者数は14年まで3年連続マイナスとなっている。国内観光地への不満は交通の便の悪さと、入場料などの費用が高すぎることだ。
そんな新聞記事を読んで、妙に納得したのだった。
<橘 玲(たちばな あきら)>
作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』(ダイヤモンド社)など。中国人の考え方、反日、政治体制、経済、不動産バブルなど「中国という大問題」に切り込んだ最新刊 『橘玲の中国私論』が絶賛発売中。
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