「権力を誇示する上司」に欠けている2つの能力あなたは部下に「権力」を誇示していませんか?

「権力」という言葉を聞いて、どんなイメージを持ちますか?

 人によっては、ネガティブに捉える人もいるでしょう。権力を濫用している人を目の当たりにしたことがある人は、「ああいう人にはなりたくない」と思ったことがあるかもしれません。また、権力を振りかざしている人を見て、「どこまで権力に従わなければならないのだろう」と悩んだことがある人もいるでしょう。

 私にも、こんな苦い経験があります。

 当時の上司が海外出張中に、突然の解雇通知を言い渡された時のことでした。その通知に憤りを覚えた上司は、その夜に出張先で、会社のクレジットカードを使って、200万円もの買い物をしたのです。買い物のほとんどは、私的なものでした。

 この事実を知った時、背筋がゾッとするとともに、権力をもつ人の怖さを知りました。周囲の人の上司への反応は、冷ややかなものでしたが、「解雇されたのだから、まぁしょうがない。目をつぶろう」という雰囲気が漂うなか、秘書である私にも冷たい視線が注がれました。

「権力をもつ人は、何をしてもいいのだろうか」

 これをきっかけに、私は、「権力(パワー)」とは、いったいどんなものか、観察するようになっていきました。

上司は知らず知らずのうちに
「権力」を握ってしまっている

 リーダーの側で働く秘書は、組織での権力のバランス(パワーバランス)を意識して、仕事を進めなければなりません。有能な秘書は、そのバランスを的確に見抜く力を持っています。また、人と人との関係のバランスの中で、どう振る舞えば、上司が目的達成のために優位に仕事を進めていくことができるのかを把握しています。

 組織では、リーダーに「権限」が与えられます。

 ここで言うリーダーというのは、決して、経営層の方たちだけのことを指しているわけではありません。「部下」をお持ちの「上司」の方、全員にあてはまるのです。なぜなら、そこには、すでに「上司」と「部下」という上下関係が成り立っているからです。

 「まだ課長だし、役員ではないから」
 「部下といっても2人しかいないから」
 「役職についていても、実際、そんなに権限をもっていないから」

 そう思っていませんか?

「部下」をお持ちの「上司」の方は、つい忘れてしまいそうになるかもしれませんが、すでに様々な「権限」を持っていることを理解して、部下に接しなければなりません。

 そこで今回は、日々多忙な上司の方が知っておいたほうがいい権力(パワー)について考えていきたいと思います。