北の街がスポーツの話題で盛り上がっている。

 パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)の第1ステージでは東北楽天の本拠地・仙台の人たちが、第2ステージでは北海道日本ハムの本拠地・札幌の人たちが熱狂した。

 04年に北海道に移転した日本ハムはすでにパ・リーグの強豪に成長、06年から4年連続でCSに進出しており、この熱狂にも慣れているだろうが、今年は相手が同じ北国・仙台の楽天。北海道と東北のチームが日本シリーズ進出をかけて戦うことなど、ほんの数年前まで誰も想像できなかった。

 第2ステージ第4戦で日本ハムが楽天を9-4で破り日本シリーズ出場を決めた翌日の25日、奇しくもJ2リーグでベガルタ仙台-コンサドーレ札幌の試合が行われた。こちらは1-0で仙台が勝ち、J1昇格に大きく前進。地味ではあったが、野球の仇をサッカーが返したことになる。

 昨年J2に降格した札幌は現在7位。1シーズンでのJ1復帰は適わなかったが、サポーターは熱い応援を見せた。仙台・札幌両クラブの観客動員力は優秀だ。1試合あたりの平均入場者数は仙台がJ2・18クラブ中1位の約1万2千人、札幌は3位の約9千900人(2位は甲府)。J2全体の平均観客動員数は6千人だから、両クラブに熱心なサポーターがいることが解かる。

 同じ東北勢ではJ1昇格1年目のモンテディオ山形が残留をほぼ確定。こちらも1試合平均1万2千人の観客を集めた。

 Jリーグは今季、大分のJ2降格が決定し、来季のJ1は九州のクラブがゼロになる。代わりに東北のクラブがふたつになる可能性が高い。プロ野球・Jリーグともに成績でも観客動員でも北国のチームが健闘を見せているのである。

かつての東北・北海道は
巨人ファンばかりだった

 複数のプロチームがある仙台と札幌のスポーツ観客動員をチェックしてみよう。仙台は楽天が1試合平均約2万人、ベガルタが約1万2千人、プロバスケットボール・bjリーグの「仙台89ers(エイティナイナーズ)」もあって、こちらは約2千人だから合計すると3万5千人近くになる。札幌は日本ハムが約4万人、コンサドーレが約1万人、ここにもバスケットボール・JBLの「レラカムイ北海道」があって約3千人の動員力がある。合計すると約5万3千人。試合がある日はスタジアムにこれだけの人が集まるのだ。また、スタジアムには行かないものの地元チームの勝敗には一喜一憂する人も少なくないだろうから、スポーツによって相当、街が盛り上がっていることになる。