サミット取材のため、イタリアにやって来た。昨年の北海道洞爺湖サミットに次いで2年連続、今回は「週刊文春」編集部からの依頼である。

 開催地のラクイラは、4月に大地震に襲われたばかりのイタリア中部の都市、現在も復興作業の途にある。ベルルスコーニ伊首相が、当初の開催予定地であったマッダレーナ島から急遽、予定を変えてそこに移した。

 わずか2ヵ月前の決定だったからだろうか、準備は間に合わず、結局、各国首脳の宿泊先も警察幹部学校の宿舎になってしまったほどだ。

 ローマ・フィルミチーノ空港のテレビでは「サミットよりも、復興を」と叫ぶラクイラ市民の映像が流れている。夜の街を歩いたが、少なくとも、ここローマではサミット開催の盛り上がりはまったく感じられない。唯一、上空を飛び交うヘリコプターの音だけが、重要な国際会議の存在を知らせてくれる。

胡国家主席も欠席では
成果も期待できず

 イタリアのニュースでは、オバマ米大統領のサミット初登場が大きな話題になっているくらいだ。核廃絶宣言などで欧州中から期待感をもたれている表れであろうか。イランや北朝鮮の核開発問題などで、オバマ大統領のリーダーシップへの期待は小さくない。

 一方で、今回のサミットに限って言えば、政策的な話題の乏しさからか、冷めた見方も広がっている。

 サミットの公式HPでも、その主ページには経済・金融危機からの克服を掲げているものの、具体的な展望を示すには至っていない。
http://www.g8italia2009.it/G8/G8-G8_Layout_locale-1199882116809_Home.htm

 どうやら、世界経済の危機からの脱却は、9月に米ピッツバーグで開催予定のG20金融サミットに委ねられそうだ。