8月末の基本合意を目指し、ファミリーマートとの経営統合の協議が大詰めを迎えるユニーグループ・ホールディングス。“嫁入り”前に総合スーパー改革を進める。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)

「衣料と住関(住宅関連用品)の坪効率が悪い。売り場が広過ぎる」

 昨年10月、瀬戸物の街として知られる愛知県瀬戸市。改装を控えた総合スーパー(GMS)のアピタ瀬戸店で、ユニーグループ・ホールディングス(GHD)の佐古則男社長はげきを飛ばしていた。

 自ら店内を歩き回りながら歩数をカウントして距離を測定。「衣料はここまで」「通路の幅をもっと狭く」と売り場のレイアウトについて次々と注文を付けた。

 佐古社長が気合を入れて現場に乗り込んだのには理由がある。当時、佐古社長はGMSを展開する事業子会社ユニーの社長で、同店の改装をGMS改革のモデルケースと位置付けていたからだ。

 年間売上高約50億円のアピタ瀬戸店は、地上2階地下1階建てで売り場面積は約4000坪(1万3200平方メートル)。約230店あるユニーのGMSでも中間的なサイズだ。

 GMS改革の柱ともいうべき店舗改装で、佐古社長が掲げたコンセプトは「五十貨店化」。百貨店のように幅広い商品を扱うのではなく、不振のカテゴリーを圧縮して得意分野を強化する“選択と集中”の戦略である。

 同店の場合、衣料の売り場を約3割、住関を約2割減らし、生じたスペースには家電量販店のエディオンを入居させた。それ以外にも、若い女性向けのトレンドファッション商品を大幅に削減、カーテンや手芸用品などの取り扱いもやめた。

 一方で、住関の中でも強化対象としたキッチン関連用品の売り場は6%拡大。例えば包丁は岐阜県関市のブランド包丁など、5000円を超す高価格帯の品も陳列。スポーツや行楽など年間を通じて需要がある水筒・ボトルは約800品目も取りそろえるなど、強化するカテゴリーの商品は徹底的に集めた。

 約8000万円を投じて今年3月に完了した改装だが、不安もあった。売り場を減らした衣料と住関の売り上げがどこまで落ち込むのか、見通せなかったからだ。

 売り場面積と売り上げは比例する。これが社内の常識だった。だが、ふたを開けてみると3月以降の衣料と住関の売り上げの落ち込みは5~10%にとどまった。そこにテナントのエディオンからの賃料収入が上乗せされ、店の営業利益率は3.0%から3.9%へと改善した。

「ここまで売り場の効率が悪かったのかと痛感した。改装しなければ分からなかった」(同店の松下絵美店長)

 GMS改革の滑り出しとしてはまずまずの成果を収めた形で、ユニーの吉田譲常務は「5000坪以下のGMSの活性化モデルとして、今後も店の立地や採算性を見ながら改装していく」と語る。