少子高齢化とともに様々なビジネスのパイが縮小していくことが懸念される中でも、ペット関連ビジネスは拡大が続いている。ペットは今や多くの人にとって大切な家族。ペットに費やすお金もどんどん増えている。場合によっては家族の中で肩身の狭い思いをしているお父さんより大事にされていることもあるだろう。「ペットの家族化」に伴って伸びているのが「ペット向け高度医療」と「ペット保険」ビジネスだ。今後も成長が期待できるこの市場ではどんな企業が伸びているのか。

「家族化」と「高齢化」で
高額化するペットビジネス

病気予防から高度医療まで、ペットビジネス最前線「わが子」と同じ

 犬と猫を合わせたペット頭数は1990年代から2008年にかけて小型犬ブームがけん引して大きく伸びて2000万頭を大きく超えた。2009年以降ペット頭数自体は頭打ちになっているものの約2100万頭という水準になっている。これは、なんと、15歳未満の人口1600万人を大きく上回っている。そして、ペット関連ビジネスの市場規模は1.4兆円を超えてなお堅調に成長し続けている(※1)

 日本のペットビジネスのトレンドは「家族化」と「高齢化」という2つのキーワードで示される。

 ペットは今や完全に家族の一員であり、大切な子どもたちなので、家の中で大事に育て、洋服もトリミングもフードも人間並みにお金をかけることをいとわない。そうした飼い主の心情にこたえるように、ペット用のグッズやサービスはどんどん上質化して高額化している。

 そうして大切に育てられることでペットの寿命は延び、高齢化も進んでいる。犬や猫の寿命はかつて10年程度といわれていたが、今やどちらも15年程度だ。犬も猫も7歳以上は高齢犬、高齢猫となるが、今はその割合が4~5割となっている(※2)

 高齢化が進むと、人間と同じようにガンなどの病気が増える。飼い主としては当然、自分の“家族”がガンなどの病気で死ぬことは耐えられないから、そうした疑いが出れば動物病院で精密検査をし、深刻な病気なら高いお金を払ってでも手術をして助けようとする。こうしたペット向けの高度医療は最近では人間並みになっており、全額自費負担なら何十万円もかかることも珍しくない。

 また、ペットは家族であるから、もしもに備えて人間の医療保険にあたるペット保険にも加入する――。

 こうした中で特に拡大著しいのが「高度医療」と「ペット保険」なのだ。今や保険も医療も人間並みになりつつある。