「めんどい人々」を増やす
ストレスまみれの現代社会

ストレスチェック制度は「めんどい人」の<br />魔女狩りに使われないか?ストレスを「個人の問題」としてだけ扱うのではなく、職場の環境や就業の構造的な問題として考え、改善策を模索していく必要がある

 世の中の多くの人がストレスを抱えている。この連載のテーマである「めんどい人々」が増えているのは、ストレスにまみれた現代社会での暮らしが少なからず影響している。

 特に人々がストレスを感じているのが、職場環境だ。

 厚生労働省が発表した『平成24年 労働者健康状況』によると、仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスとなっている事柄がある人の割合は60.9%にも上っている。そのなかで、「職場の人間関係」に悩んでいる人の割合は、41.3%いたという。

 ちなみに、「職場の人間関係」で悩んでいる割合は、女性のほうが48.6%と高い。「女性の社会進出」については、政府が旗を振って推進している。しかし、実際には男性中心で回っている職場が多く、セクハラやマタハラなどの問題も根強く残っている。どこかの知事が「(女性に)サイン、コサイン、タンジェントを教えて何になるのか」と発言したと言うが、そういったマインドを持った上司がいる職場だと、女性は苦労するだろう。

 そんななか、事業者に労働者のストレスチェックと面接指導の実施を義務づける法律が、今年12月から施行される。事業者は年に1回程度、調査票によるストレスチェックを行い、高ストレス者と判断され、本人から申し出があった場合は、医師による面接指導を受けさせなければいけない。個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させ、職場環境の改善につなげていくことが目的だ。義務化されるのは、従業員50人以上の企業が対象になる。

 しかし、制度のスタートに向けて、まだまだ対策が練れていない企業が多いようだ。一般の会社員に至っては、12月から制度が開始されることすら知らない人も多いのではないか。

 ストレスチェックに用いる調査票は企業が自ら選べる仕組みだが、厚生労働省では標準的な調査票を用意して使用を推奨している。どのような内容になっているのだろうか。