燃油サーチャージの円建て化で旅行会社は困惑JALとANAの新基準に合わせるかのように海外航空会社のサーチャージも均一化している Photo by Ryosuke Shimizu

「パッケージツアーにおける航空券のコストをどのように見積もればいいのか」──。旅行会社各社は今、そんなことに頭を悩ませている。

 というのも、原油がこれだけ安くなっているにもかかわらず、航空会社の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)は期待したほど、下がっていないからだ。

 日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)は、サーチャージの基準を4月から改定。従来はシンガポール市場のケロシン(灯油)の価格を米ドル建てで適用していたのを、円建てに変更した。

 これにより、原油価格の下落に伴ったサーチャージの値下げは最大7割に上るはずだったが、円安も加わったことで最大5割に。例えば日本発北米・欧州行きでは、1万4000円から7000円に下がる見込みが、1万0500円にとどまったのだ。

 また、ケロシン価格が60ドルを割るとサーチャージは廃止されるはずだったのだが、円建てになったことにより廃止されずじまいとなった。

 旅行会社では、ツアーやパンフレットの作成を早ければ1年前から始める。ツアー代金の半分程度を占める航空券代が下がることを想定していたところで、こうした事態となったことに困惑しているというわけだ。

「サーチャージの廃止は、円安の影響で伸び悩む海外旅行需要の、追い風になる可能性があったのに」と旅行大手幹部は肩を落とす。