混合診療の新制度「患者申出療養」の危うい中身

 前回の本コラムでは、混合診療の解禁論争の歴史を振り返り、来年4月から「患者申出療養(かんじゃもうしでりょうよう)」という新しい医療制度がスタートすることをお伝えした。

「患者」が「申出」るなどと、さも患者が望んでいるかのようなネーミングだが、実際には当事者である患者の声を聞かずに、経済界が主導する規制改革会議のゴリ押しで作られたのが本当のところだ。

 そのため、患者団体からは、新しい制度が始まると「患者の負担が増えるのではないか」「医療の安全性は保たれるのか」といった不安の声が上がっている。

 そこで今回は、患者申出療養の詳しい制度内容、先進医療との違いなどを整理したい。

保険外併用療養費の
第3のカテゴリー

 日本では、健康保険が適用された「保険診療」と、適用されていない「自由診療」を同時に使う、いわゆる「混合診療」は原則的に禁止されている。ただし、患者の利便性を考え、部分的に混合診療を認めているものもある。それが「保険外併用療養費」で、これまでは次の2つに分類されてきた。

(1)選定療養

 今後も健康保険を適用することがない費用。差額ベッド料、歯科の金合金等、大病院の初再診料、制限回数を超える医療行為など、全部で10種類。

 医療機関は、保険診療部分に加えて、これらの特別料金を患者の全額自費で徴収してもよいことになっている。

(2)評価療養

 健康保険を適用するかどうか確認している段階の治療。先進医療、医薬品の治験にかかる診療、薬事承認後で保険収載前の医薬品の使用など、全部で7種類。安全性と有効性などが確認されれば、将来的に保険適用される。

 先進医療など保険適用前の治療は患者が全額自己負担するが、これと併用する保険診療部分は一部負担金で利用できる。