上司との衝突などが原因で会社にいられなくなり、「今度の会社では」と期待を抱いて転職をする人は多い。しかし、意味不明な上司がそこにもいるときがある。そういった瞬間、会社員を続けることが嫌になるものだ。

連載12回目は、大企業から中小企業にリストラ転職した2人の男性社員を紹介しよう。最後に彼らの人生は大きく変わってしまうことになるが、あなたはどちらの生き方に近いだろうか。

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■今回の主人公――はい上がろうとする「負け組社員」

井上幸夫(37歳・仮名)、丹羽和夫(53歳・仮名)

 社員数200人ほどのカタログ製造販売会社に勤務する。本社は横浜。2人はコーポレイト・コミュニケーション室に所属。前職は大企業のソフト開発部門などに勤務していたが、リストラにより退職。丹羽と井上は、かつて同じ部署に在籍していたこともあり、先輩・後輩の間柄である。

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(※プライバシー保護の観点から、この記事は取材した情報を一部デフォルメしています)

年上の部下と幼稚な仕切り屋が衝突!
中小企業の職場で繰り返される「押し問答」

 室長の荻谷 一(43歳)と、年上の部下である丹羽の押し問答が始まった。

 「えっ? そんなことは聞いていない!」

 「いや、先日、私が伝えたじゃないですか!」

 「聞いていない! 聞いていない!」

 コーポレイト・コミュニケーション室の部員8人は、決して2人の方を見ない。そのうちの1人、井上が一瞬視線を送った。だが、すぐに机の上のパソコンに向かう。井上は荻谷の後輩である。