ボクサーとしての誇りと責任を

 試合後は史郎氏のめちゃくちゃな発言ばかりが注目されたが、ベルトを巻いていた興毅選手は自分の思いをしっかりとメディアに伝えるべきだった。それは、世界チャンピオンとしてリングにあがったボクサーの最低限の責任だからだ。

 二階級制覇を達成したボクサーなら、父親の発言もふまえて、しっかりと自分の言葉で心境を語るべきだろう。ボクシングメディアの前で何も語らないまま、テレビのクイズ番組に出演していたが、このあたりはボクサーとしてよりも、タレントとしての自覚のほうが強いのだろうか。

 今後、亀田一家はどうなっていくのか。

 JBCは亀田ジムの五十嵐紀行会長(35)に対してもクラブオーナー、プロモーターの両ライセンスを無期限停止の処分をくだした。亀田ジムは活動できなくなり、興毅選手をはじめ、次男の大毅、三男の和毅の受け入れ候補としてあげられたジムの名前が、スポーツ紙の紙面を飾っている。

 その一つである渡嘉敷ジムの渡嘉敷勝男会長は「興毅は日本タイトルから」と語っていたが、適切な考え方かもしれない。

 フライ級近辺のウエートには、世界レベルの日本人ボクサーが何人もいる。そうしたボクサーと闘って拳をもっと磨けばいい。日本タイトルで亀田の名前がでれば、多くの人が注目するだろうし、ボクシング界を盛り上げることができるかもしれない。

 WBA王者の大毅選手は、ダイレクトの再戦となったタイトル挑戦の条件だった坂田健史選手との防衛戦をすべきだろう。減量苦によるベルト返上も噂されるが、それなら最初からフライ級でタイトル挑戦すべきではない。試合後のリングで自作の曲を弾き語りで披露できたのだから、減量苦で体が動かないという理由も説得力に乏しい。

 興毅選手のタイトルマッチが行われた有明コロシアムには、空席が目立った。この風景を、リングサイドにいたボクシング関係者たちはどんな思いで見つめていたのだろう。

 本質を曲げたままのブームは、結局、そのフィールドも汚していく。

もう一度、亀田ブームを創り出すのなら、演出や無理に仕立てた台本はいらない。

 テレビ局とボクシング界は今こそ、誇りに満ちたボクサーたちの群像を伝える努力をすべきではないか。その正当な光で、等身大の亀田3兄弟の背中も映せばいい。