「リリース直前の新製品について、他社製品の特許を侵害する可能性が出てきた。しかし上司は、会長にそのことを言えず、『お前たちでなんとかしろ!』と部下の私たちに言ってきた。特許においては、クロをシロするなんて無理なのに……」(27歳/IT)

「いくつかの部署をまとめるチーム長が、決算期を前にこう言ってきた。『あの部署は大幅赤字になりそうなんだよね。だから、君たちのところで彼らの利益も出してくれない?』。もちろん無理な話だが、そのための計画も出すように言われた。会長からのお叱りが怖くて、私たちの部署に無茶ぶりをしたんだと思う」(28歳/メーカー)

 ワンマン企業で起こる数々のチャレンジ。「ワンマン」という意味を考えれば、その企業風土の中でこういった体験談が出てくるのも、仕方がないのかもしれない。

苦境に耐える者しか残れない!
「根性教育」が生む過酷なチャレンジ

 次に取り上げたい企業風土のキーワードが「根性教育」。企業の中には、苦境に耐え得る“根性の持ち主”だけを会社に残したいという方針を持つところがある。そういった企業は、若手社員に対し日常的にチャレンジを強いる。いわば、これは新人教育の1つ。それらのチャレンジを跳ね返したり耐えたりするものだけが戦力として残ればいい、という企業風土だ。

 今回、チャレンジ体験談を集めたところ、まさに「根性教育」の姿勢を持つ企業から多くのエピソードが聞かれてきたのだった。いくつか紹介したい。

「うちの企業は毎年200人ほど新人を採用するが、1年経って残るのは半分以下。なぜなら、上司が新人たちに無茶な要求ばかりするから。たとえば営業なら、『1日で名刺を100枚もらってこい』と言われて、毎晩その日に名刺を何枚もらったかをチェックされる」(25歳/広告)

「他社のパーティに毎年招かれるのだが、そこで恒例となっているのが新人の根性試し。相手企業の社長の前に新人を差し出して、『30分間、社長の相手をしてこい』と言われる。無理な話だし、きっと相手企業の社長もよく思っていない。でも、毎年のように新人にやらせている」(28歳/販売)

「毎年、『どの部署の新人がもっとも優秀か』を競うようになっている。その結果、入って2ヵ月の新人にイベントの仕切りを任せるなどの事態が多発。そして、『うちの新人は2ヵ月でイベントのメインを張りました』と社長に報告する。実際のイベントはボロボロで、周りのベテランが事後処理をしたのに」(34歳/イベント)