「会社の歴史を見ても1人しかいないような、優秀な社員が過去にいた。今の経営陣はその人の新人時代を基準にして、毎年入る新人に『昔こういう人がいた。君たちも同じことができないとダメだ』とチャレンジを要求している。具体的には、入社半年での新規事業開拓から利益化。多くの新人は、この要求を聞いて『無茶苦茶だ』と落ち込んでいる」(39歳/人材)

「根性教育」は、会社全体の方針として行われるもの。その結果として、チャレンジに耐えた社員だけが会社に生き残る。そして、それが引き起こすのは「チャレンジが蔓延する企業体質」だ。なぜなら、チャレンジに耐え、それを跳ね除けた社員ばかりがいる企業なら、そういったチャレンジを「なくそう」「やめよう」という声は出にくくなる。こうして、チャレンジが当たり前になる企業ができていくのではないか。それを感じる体験談だった。

変な水増し契約が続々
無意識にチャレンジが生まれる職場

 次に紹介する「無意識の定着」とは、上司が具体的にチャレンジを要求しているわけではないのに、結果としてチャレンジが発生している状態だ。まずはエピソードを見てもらいたい。

「売上が悪い月は、営業マンが夜8時に帰社すると『何しとるんや。売上足らんからまだ帰ってくるな!』と怒鳴られる。8時以降に外を回ってもお客さんはもう帰っているのに……。こうなるのが怖くて、毎月何が何でも売上を伸ばそうとする。その結果、かなり微妙な契約が増える」(32歳/不動産)

「ミスをすると上司からこっぴどく罵倒される。机を蹴られている人も珍しくない。また、定期的な上司との1対1面談で『なんでここのミスしたの? 目標達成できなかったのはどうして?』と何時間も詰められた」(28歳/広告)

「うちの企業では、毎月の案件獲得数が重要。前年の同月より1つでも獲得数が下がると、会長から呼び出されて叱られる。時には、部署の人員配置に問題があるとして飛ばされる。それが怖いので、獲得数が届きそうにない月の後半は必死。『本当にこれを獲得と呼べるのかな』というような曖昧な案件でも、獲得したことにして帳尻を合わせてしまう」(31歳/教育)