カナダの首都オタワに行ったとき、空港の両替で入手した100カナダ・ドル札が、街中で使えなくて面倒な思いをした。偽札を警戒する人が多いためだ。

 カナダ銀行(中央銀行)の貨幣博物館に売店があった。「ここなら使えるだろう」と思い、100ドル札を出してみた。店員はさすがに拒まなかった。しかし、本物かどうか確認が終わるまで、ずいぶんと時間がかかった。

 中央銀行の売店が偽札をつかまされたのでは、冗談にならないからであろう。ちなみに同行ではその日、商店主向けに「偽札の見分け方」というミニセミナーが開催されていた。

 米国でも100ドル紙幣は嫌われる。ある大手銀行のATMで数100ドルを引き出すと、今でも紙幣はすべて20ドル札で出てくる。

 米政府は来年2月から新100ドル札を流通させると発表した。視覚的な新偽造防止技術により、「数秒で本物かどうか判別できる」点が“売り”になっている。

 紙幣の表中央に青い3Dリボンがあり、紙幣を上下に傾けると、リボンの中に見えるベルと100の数字が左右に動く。左右に傾けると、それらは上下に動く。

 紙幣下方にある大きな「100」やインク壷の中のベルは、紙幣を傾けると、銅色から緑色に変わる。また、紫外線を照射すると紙幣の左側にピンク色の線が現れる。