日銀は結局、金融政策据え置き
弱まる「期待」への働きかけ

日銀は“期待に働きかける”金融政策を変えたのか日銀は10月30日での追加緩和を結局見送り。今後の不透明性は増している

 10月30日の金融政策決定会合については、筆者を含め市場の一部に追加緩和観測があった。しかし、結局、日銀は金融政策を据え置いた。

 一方、日銀は「CPI前年比2%」が実現するまでの時間軸を「2016年度後半」に半年延長した。時間軸の延長やソフト化は半ば恒例行事となってきた。加えて、日銀は2015年度実質GDP、2015~16年度コアCPI(生鮮食品を除く総合CPI)を大幅に下方修正した。

 日銀のCPI見通しが「目標」を示すものから、「実勢」を示すものに変わってきている。すなわち、市場や経済主体の「期待」に働きかける度合いが弱まってきている。日銀は「カレンダーベース」のフォワードガイダンスの位置付けを下げ、様子見姿勢に舵を切った。金融政策をめぐる「ゲームのルール」が変わったとさえ言える。

CPI2%実現は「2016年度後半」に
もはや恒例行事の時間軸延長

 10月30日、日銀は半年に一度の「展望レポート」を発表した。一つのポイントは「CPI前年比2%」が実現するタイミングを従来の「2016年度前半ごろ」から「2016年度後半ごろ」に延長させたことである。

 もはやこのような時間軸の延長(ないしソフト化)は「恒例行事」と呼んでもよさそうだ。実際、これまでも

●2014年4月の展望レポート・・・「2013~15年度の後半にかけて」を「2014~16年度の中盤頃」に延長

●2014年10月の展望レポート・・・「2014~16年度の中盤頃」を「2015年度を中心とする期間」にソフト化

●2015年4月の展望レポート・・・「2015年度を中心とする期間」を「2016年度前半頃」に延長

●2015年10月の展望レポート・・・「2016年度前半頃」を「2016年度後半」に再び延長

という具合に、頻繁に変更されている。