IoT時代のサイバーセキュリティは実現できるか写真左から、議長を務めた齋藤ウィリアム浩幸氏、志賀俊之氏、デニス・ブレア氏、中谷昇氏 
Photo by Katsuyuki ohkawara

 内閣府は、世界経済フォーラムの協力を得て、2015年11月7日、8日の2日間、沖縄県名護市の沖縄万国津梁館で、サイバーセキュリティに関する国際会議「Cyber3 Conference Okinawa 2015-Crafting Security in a Less Secure World-」を開催した。

3つのテーマを議論

 政府関係者やサイバーセキュリティに関する専門家や研究者など、35の国と地域から、約350人が参加。会期中には、IoT、クラウドサービス、センサーネットワーク、ロボット、自動運転テクノロジーといったテーマを含む「サイバーコネクション」、サイバー空間の安全性向上や悪意ある攻撃から防御をテーマとした「サイバーセキュリティ」、サイバー犯罪の増加を抑止する協力関係などを模索する「サイバークライム」という3つのテーマから議論。サイバー空間で発生する諸問題について解決策を模索するものとなった。

 安倍晋三首相はビデオメッセージを通じて、「2016年の伊勢志摩サミット、2020年の東京オリンピック/パラリンピックを成功に導くためにも、サイバーセキュリティへの取り組みが重要になる。世界中のサイバーセキュリティの専門家が一堂に会した今回の会議での議論が、実りのあるものとなり、安全なサイバー空間を実現することに期待したい」と述べた。

 日本では、昨年11月にサイバーセキュリティ基本法を制定したのに続き、今年8月には、サイバーセキュリティ戦略を閣議決定。サイバーセキュリティ対策に本腰を入れはじめたところだ。

 会議には、甘利明内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、島尻安伊子内閣府特命担当大臣(沖縄および北方対策、科学技術政策、クールジャパン戦略)、国家公安委員会の河野太郎委員長などのほか、サイバーコネクション、サイバーセキュリティ、サイバークライムの3つのトラックのそれぞれの議長を務めた志賀俊之氏(産業革新機構代表取締役会長、日産自動車副会長)、デニス・ブレア氏(笹川平和財団米国会長、元米国家情報長官)、中谷昇氏(国際刑事警察機構=インターポール=IGCI総局長)をはじめとする有識者が参加。

 さらには、セキュリティ大手カスペルスキーのユージン・カスペルスキー会長兼CEO、日本IBMのポール・与那嶺社長、米シマンテックのシェリ・マグワイヤ副社長など、IT業界トップの姿もみられた。

 同会議のチェアマンを務めた、内閣府参与であり、世界経済フォーラム グローバル・アジェンダ・カウンシルの齋藤ウィリアム浩幸氏は、「インターネットは経済そのものであり、同時に、国や企業を超え、1つの国の法律や政策などが通用しないものとなる。インターネットは大きな岐路に立っており、国や企業の枠を超えてお互いに協力する必要がある」とコメント。島尻大臣は「世界中の人たちが、自由かつ公正なサイバー空間の恩恵を、安全な形で享受することができる社会の実現に向けて、実りのある議論が展開されることを期待している」と、同会議の意義について語った。