日本の財政破綻が「絶対ない」とはいえまい(じつは、どこの国でもそうだと思うが)。今回は、財政が将来破綻に近い状況に陥ることが十分あるという前提で、個人の資産運用を考える。

 週刊ダイヤモンドの5月22日号に掲載された野口悠紀雄教授「『超』整理日記」の「ギリシャと日本の赤字 インフレ税と共通通貨」では、国家がインフレによって過去の債務残高を実質的に帳消しにするケースが説明されていた。特に高齢の小金持ちにとっては、恐ろしい話だった。ここで例に挙げられた敗戦直後のインフレのような状況になると、国債の保有者はもちろん、預金も含めて、金融資産のかたちで財産を持っていた人は、その大半をリセットされてしまう。

 相対的には、野口教授のご指摘のように金融資産よりも不動産のような実物資産がいいが、田や畑のような生産手段を持っているとさらにいいだろう。生産手段という意味では、これから十分働くことができる若さとスキル、つまり豊かな「人的資本」を持っている人は、将来稼ぐことができるから割合安心だ。たとえば、為替レートの調整がインフレ率に遅れて、実質成長率がマイナスになり、雇用が減る場合もあるだろうから万全とはいえないが、基本的に若者はインフレを怖がる必要はない。

 若者なら外国語や職業スキルの習得に対する投資(おカネも時間も)を行うべきだ。人的資本への投資こそが最強の投資だ。野口教授もほめてくださるだろう。高齢者なら健康に投資して将来働いて稼げる年限を延ばすことは有効な投資だ。いずれも、日本の財政破綻に対する備えになるはずだ。

 財政赤字についてネットで議論していたら、「岩石理論」なる言葉に出合った。財政赤字があるレベルを超えたところで、岩石が坂を転げ落ちるように制御不能になるという心配を指すらしい。