マイクロソフト自身の
働き方も変化した

 ところで、こうした生産性向上ツールを世に送り出してきたマイクロソフト自身も、働き方の改革を率先して進めてきた企業だ。日本法人の日本マイクロソフトも、積極的にワークスタイル改革をすすめている。

「きっかけは、4年前の品川本社への移転と、それにあわせて都内の各所に点在していた事業所の統合でした。品川本社を新しいワークスタイルの実践場としていこうという方針を立て、最初から働き方の革新を目指しました」(日本マイクロソフトの越川慎司業務執行役員 本部長)

 その結果、これまでにオフィス(会社内)のワークスタイルだけでなく、テレワークなど働き方に関する賞を数多く受賞。品川本社のオフィスは実際に働いている環境や働き方を紹介できるように開放し、移転後から現在まで延べ60万人以上が見学に訪れたという。

 そんな本社オフィスのIT環境は、もちろんOffice365を中心に据えている。コミュニケーションツールの「Skype for Business」を使えば、社内でも社外(テレワーク)でも、居場所が明らかになり、必要ならすぐに音声やビデオでコミュニケーションが取れる。社内、社外、そして海外にいても、社員が効率よく働くことができるシステムを構築した。そしてこの仕組みは、徹底した成果主義を貫くマイクロソフトの文化にも合い、大きな成果を挙げた。

 だが、働き方が自由になった代わりに、企業を変革していくための多様性の取り込みという点では壁に突き当たったという。各社員が個別に与えられたノルマを果たすことはできても、コラボレーションの活発化は図れなかった。そこで、次の段階として社員の情報共有、協業を重視する方針を打ち出し、社員の人事評価にもコラボレーションの成果を盛り込む方針に変えた。

「ナデラCEOは、マイクロソフトの新しいビジョンとして“地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする”を挙げています。これは顧客に限らず、“同僚の生産性を上げる”ことも含まれるのです。つまり、互いが協力し合うコラボレーションと情報共有が、結果的に全体の生産性を高めるという考え方です。そのため当社では、従来は個人の成果中心だった人事評価基準に、2年ほど前からチームによる成果とチームへの貢献度を加えています。現在の人事評価のKPIは、(1)個人の成績 (2)連携の度合い (3)他者の評価の3本柱となっています」(ピティエ氏)