5月末、アメリカに次いで世界で発売されたアップルのタブレット・コンピュータ、iPad。アップル・ストアーに人びとが群がる映像が世界中を駆け巡り、早くも累計200万台を売り上げたと同社は発表している。

 しかし、そうした人気の一方で、iPadを買わないと断言している人もアメリカには実は多い。カメラがついていないこと、キーボードが使いにくいこと、テレビに接続できないこと、オープンと言ってもSIMカードがミニサイズであり結局盟友のAT&T以外の他のキャリアでは目下使えるところがないことなど、機能上の課題を列挙する人は多い。だが、それ以上に開発やコンテンツを牛耳ろうとするアップルの姿勢に対して抵抗感を示す人が多い。

 たとえば、SF作家としてカルト的人気を持つコーリー・ドクトロウは、iPadで売られている漫画などのコンテンツを友人に貸し出したり交換したりできないこと、バッテリーすらユーザーが自分で交換できないこと、デバイスの人気を背景に開発者をコントロールしようとしていることを批判している。ついでに課金モデルへの移行を約束してくれそうなiPadに群がるジャーナリズムに対しても厳しい目を向け、iPadは買わないと公言している。

 さて、iPadの人気を受けて、遅ればせながら他のメーカーも今後、類似したタブレット・コンピュータをこぞって発表することが予想されている。そして彼らは、アップルが牙城を築く道具として用いているDRM(デジタル著作権管理)や開発者らへのコントロールを、そのまま逆手にとってオープンモデルを提示し、牙城崩しに挑むものと思われる。

 では、どんな競合機が登場するのか。