仕事ばかりの毎日から
休日は妻とゆっくり過ごす日々へ

 薬を飲みはじめて半年を過ぎた頃、友人と話し合って薬はやめた。

 振り返ると、家業を継いだTさんは、サラリーマンが持つような「上司とソリが合わない」「会社を辞めたい」という悩みがない代わりに、常に「このままでいいのか」「会社をどうすればよいのか」という不安といつも1人で闘っていた。仕事のことばかりずっと考えて、休みもろくにとらなかった自分を反省した。

 それから休日は、妻と散歩をして地元でゆっくりと過ごすようになった。不眠になって気づいた穏やかな休日の過ごし方だ。それまで家族の外食は銀座や六本木などの有名店で外食をすることが多かったが、散歩をきっかけに自宅近くの洋食屋のビーフシチュー、中華屋の坦坦麺、うなぎ屋のうな重などを食するようになった。それはどんなホテルのレストランよりも美味しかった。レストランでの感想などをブログにアップしていたら、『人気ブロガー』と呼ばれるようになっていたほどだ。

 そして、穏やかな生活をおくり始めたのをきっかけに、近所の公園のバラが年2回咲くことに中年を前にしてはじめて気がついたのだった。

再度襲われた不眠の症状
今度はかゆみで眠れない状態に

 しかし最近、そんな生活を送っていたTさんをまた不眠が襲うようになった。

 今度は寝つきが悪いのではなく、寝ていてもふとした物音で夜中に起きてしまうのだ。そして身体全体がムズムズ痒い。市販のかゆみ止めを全身に塗ると少しラクになるのだが、また夜中に目が覚めてしまう。全身がかゆい。しかもシャツやパンツなど肌着のあたるところが極端にかゆい。何日も繰り返しているうちに不眠よりかゆみに我慢できずに皮膚科を訪ねた。

皮膚科で診断された
不眠の意外な原因

 皮膚科医師は迷いなくこう答えた。