「最近、IFRSへの対応を本格的に始める企業が増えている」と語るのは、デロイトトーマツコンサルティング IFRSサービスチームの中村明子シニアマネジャーだ。

 2015年、または2016年から上場企業に対してIFRS(国際会計基準)の強制適用が始まるため、日本企業はIFRSに対応するための仕組み作りに追われている。昨年まで企業の取り組みは、主にIFRS適用に関する情報収集やインパクト分析などの「事前リサーチ」がほとんどだった。

 それがここにきて、いよいよ本格的な対応に入る企業が増えてきたという。これはデロイトに限らず、IFRS導入支援サービスを提供する企業の多くが実感していることだ。ITベンダーやコンサルティング会社は、2010年3月期決算が終わり、財務担当者が決算業務から解放される夏前から、この流れがさらに本格化すると見ている。

 IFRS対応に取り組む企業にとってなくてはならないものが、導入準備に関わる効率的なサービスだ。そのニーズに応えるべく、巷ではIFRS導入支援のための様々な会計ソフトウェアやソリューションが提供されている。

 今回は、そんなサービスのうちのいくつかを紹介しながら、企業が効率的な取り組みを行なううえで理解すべき「勘所」を紹介しよう。

IFRS対応はフェーズが変わった?
鮮明になった導入企業の「リアル感」

 まずは、盛り上がるIFRS導入支援ニーズに対して、コンサルならではのわかり易いロードマップを提示しているデロイトトーマツコンサルティングのケースを見てみよう。クライアントの準備の進捗度合いに合わせて、適切なソリューションを提案できるのが、同社のモットーであり、強みだ。

 企業がIFRS対応を進めるステップは、大きく分けると、導入に関して調査・分析を行なう「フェーズ1」、IFRS対応のシステムや仕組みを本格導入する「フェーズ2」、そして導入後に制度を維持・改善していくための「フェーズ3」となる。