コマツの坂根正弘会長が、社長に就任したのは2001年。その01年度、長期不況のなかで、コマツは史上初めての800億円もの最終赤字に陥った。坂根氏は固定費削減に大ナタを振う構造改革を実施して、V字回復を成し遂げた。

中国は既往ピークの6割~7割増の高水準に。<br />ユーロ危機でもリーマンショックの再来はない<br />~コマツ・坂根正弘会長が語る世界経済の行方と我が経営(上)さかね・まさひろ
1941年生まれ、島根県出身。63年大阪市立大学工学部、小松製作所(現コマツ)入社、89年取締役、90年小松ドレッサーカンパニー(現コマツアメリカ)社長、94年常務取締役、97年専務取締役経営企画室長、99年副社長、2001年社長、2007年年6月から現職

その後も、世界経済の潮流変化を読み、新興国への展開を加速させ、コマツを優良企業に変身させた。社長就任の2002年3月期1兆円だった売上は、社長を退任した2007年3月期には1.9兆円、赤字だった最終利益は1646億円となった。前2010年3月期は、売上は1.4兆円と5000億円強も減ったにもかかわらず、670億円の営業利益を確保し収益体質の強固さを示した。坂根会長は2009年には米ハーバードビジネスレビュー誌が選んだ、世界のトップCEO100に、日本人としては最高の17位に選出されてもいる。

今ようやく曙光の見えてきた世界経済には、ユーロ危機が暗い影を落とし始めている。果たして、世界経済は再び不況に陥るのか。第1回目のインタビューでは、建設機械から見た世界経済の行方を、第2回目では収益体質を強化したコマツが、リーマンショックを受けて、次はどこへ向かおうとしているのかを聞いた。
(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集長 麻生祐司、原英次郎)

―2008年秋のリーマンショックから1年半が過ぎ、世界経済にも回復の兆しが見えてきたところに、ギリシャの財政危機に端を発したユーロ危機が起きました。世界経済の現状と行方をどう見ていますか。

 今を確認するために、私の会社人生を振り返ってみましょう。私が入社したのは1963年ですから、コマツ生活は47年になります。

 それを振り返ってみると、ある意味、今が一番自信がある。会社に入った63年ごろは、会社自身も日本経済と同様に高度成長期でした。