大正時代から現代まで、その時代の経済事象をつぶさに追ってきた『週刊ダイヤモンド』。創刊約100年となるそのバックナンバーでは、日本経済の現代史が語られているといってもいい。本コラムでは、100年間の『週刊ダイヤモンド』を紐解きながら、歴史を逆引きするのがテーマだ。今回は現在の金融危機を招いた米国の住宅バブルとその崩壊の時間軸を逆引きする。(坪井賢一)

 米国の住宅バブル崩壊が現在の欧州金融危機の発火点だが、これはいつ起きたのだろうか。

 00年代の米国の潜在成長率を2%とすると、この経済成長率の右上がり曲線を大きく上回る住宅価格の上昇曲線を描けた場合、成長率曲線との差をバブルという。

 物価上昇率が1%で、名目経済成長率が2%だとすると、実質経済成長率は1%である。住宅価格の上昇率が10%であれば、9%分がバブルである。これはいつか必ず崩壊することは歴史が証明している。

 なお、物価と住宅価格はまったく違う概念だ。物価はモノやサービスの価格であり、消費されるものである。住宅や株などは消費財ではなく、資産として価値を生むものだ。したがって「資産価格」であり、「物価」ではない。資産は経済情勢を反映して価格が上昇すると所有者に利益となる。借金して資産を購入した場合は返済金利と利回りの差が利潤となる。

 では、米国の住宅価格が経済成長率を大きく上回ってバブル化し、崩壊したのはいつだろう。「週刊ダイヤモンド」を逆引きしてみる。

「3、4年後に借り換えればいい」が落とし穴に…

 住宅価格の下落が始まったのは2006年初で、年末の12月にはサブプライムローンの販売会社の倒産が始まり、2007年には倒産事例が激増している。

 「週刊ダイヤモンド」2007年9月1日号で、大山巌氏が「サブプライムローン問題 深刻化するのはこれから」と題した記事の中で「サブプライムローン関連の主なニュース」をまとめている。逆引きしていくと以下のようになる(抜粋)。