GDP純増額は中国が世界一<br />アジア人材獲得で拡大目指す<br />大和証券グループ本社会長 清田 瞭Photo by Kazutoshi Sumitomo

──欧州のソブリン危機をどう見ているか。

 これには、サブプライム問題と似ている点がいくつかある。

 まず、当局の初動が後手に回ってしまったこと。すでに去年の半ばくらいからPIIGSと呼ばれる財政が脆弱な国々が注目され、市場では危険信号が発せられていた。ところが当時は皆、それほど深刻には考えていなかった。特にギリシャについては、ユーロを採用している16ヵ国のGDP総額のたかだか2%にすぎず、簡単に救済できるといった論調だった。

 サブプライム問題もそうだった。2006年に米国の住宅価格が下がり始めた当初、しょせんは米国住宅市場に限られた問題だと、当局には危機意識すらなかった。そのため市場の期待以上に踏み込んだ政策が出ず、一瞬のうちに危機に陥ったという構図が双方に共通している。

 もう一つは、ユーロという通貨の問題。為替レートがバラバラだった国々の通貨を統一したはいいが、各国の産業構造も経済・財政政策も異なったまま。ギリシャも個別通貨を持たないがゆえに、通貨安による競争力回復によって財政を再建するという選択肢はない。

 換言すれば、もともと欠陥商品なわけだ。「米国住宅価格の上昇を前提としたサブプライム商品」と、「EU経済が順調に成長し続けることが前提の共通通貨ユーロ」という、サステイナブルに対する誤解が共にあったと思う。