社長の最適就任期間は6年間

 これまで当連載では、後継者育成のための考え方や具体的な方策を述べてきましたが、経営者の育成を考えるうえで、ひとつ理解しておきたい重要なことがあります。

社長は「作れるもの」。その意識が日本企業とビジネスを変える!社長は長く続けられるものではない

 それは社長には最適な就任期間があることです。これはシェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソンなど6社もの国際優良企業の経営者を務めた経営のプロフェッショナルである新将命さんがご著書のなかで「最適社長就任期間は6年」と書いていらっしゃいます。

 会社を永続させるには、商品のリサーチとポジショニングを繰り返すように、自分のやってきたことを否定し、破壊しなければなりません。その決断も社長の仕事です。

 ですが、それは簡単なことではありませんし、何度もできることでもありません。だから社長を長く続けることはできないものと考え、その間に、次期経営者を育成することが必要になります。

「経営者の市場」を作ることも必要

 以前、いわゆる「プロ経営者」のプロフィールを分析した結果、20代後半から30代前半でまずは小さな組織の経営者を経験していることがわかりました。

 しかも、3~4年のサイクルでさまざまなポジションの経営者をつとめ、3~4回成功してはじめてプロになれる。日産自動車のカルロス・ゴーンさんが27歳でミシュランのフランス国内の工場長に抜擢され、31歳で南米事業の最高執行責任者(COO)に任命されたことは有名です。

 社内で後継者を育てようと思うなら、若いうちに子会社の経営者、子会社がないならプロジェクトリーダーを任せるなど自分で決裁ができる立場に据えることが必要です。

 ところが、日本企業の多くは、30歳前後でようやく主任になる程度です。これでは後継者もプロ経営者もいつになっても育たない。経営者は意図的に「作ろう」としなければ育ちません。