ベトナム 2016年2月1日

共存共栄を目指して
ベトナム人経営者から日本企業・日本人への苦言・提言

明確に意思表示をしない日本人・日本企業

 次に出て来たのが「イエスなのか、ノーなのかが分からない」「答がいつも曖昧」という意見である。これはビジネスの現場に限った話ではなく、日本人全般に関して言えることだろう。

 私が、
「日本人は、相手の気持ちを配慮して、間接的な言い方をすることがあるのです」
 と説明したところ、

 「確かに、嫌いなものを『嫌い』と言うのは角が立つから、そういう物言いを避けるのは分かる。しかし、好きなものは、ハッキリ『好きだ』と言っても、何の差し障りもないはず。イエスのときですら、曖昧ないい方しかしないのはなぜか?」
 という反論を受けた。

 さらに、
「じゃあ、日本人が曖昧ないい方をするときは、それは全部『ノー』の意味だと解釈するべきなのか」
 とたたみかけてくる。「明確に意思表示をしない日本人・日本企業」に対する、ベトナム側の苛立ちをひしひしと感じた。

 私は、
「日本人は何か悪気があって、曖昧ないい方をしているわけではない。もし皆さんが、『この日本人の答は、イエスなのかノーなのか分からない』という場合は、遠慮なく、『それはイエスなのか、ノーなのか、ハッキリしてくれ』と聞いて欲しい。そうすれば、明快な答をしてくれるだろう」
 と回答した。

 ただ私自身、言葉の裏を読むのが苦手で、ベトナム流の「イエス・ノーをハッキリ言う」というやり方のほうが楽である。それだけに、ベトナム人にしてみたら、「日本人って面倒臭い人種だ」と思われてしまうだろうなあと感じた。

 「中間に入る業者が多くて、発注者の本当の意向が見えない」
 という意見もあった。確かに、私が働いている出版業界でも、日本では、出版社から編集プロダクションと呼ばれる外部の会社に仕事が振られ、そこから更にフリーのライターという風に、中間業者が入ることが多い。同じ出版業界でも、ベトナムのほうが業界構造はフラットな印象がある。

 日本では300万社の法人があると言われるが、それに対しベトナムは60万社。会社の数が少なく、かつそれぞれの業界規模自体も日本に比べて小さいから、中間業者が入るケースが少ないのだろう。直接取引に慣れたベトナム側が、隔靴掻痒の感を持つのも分かる気がする。

首都・ハノイで2015年10月にオープンしたイオンモール。オープン後最初の日曜日には、1日の来客数が17万人を記録し、社会現象にまでなった。ベトナム市民の日常生活に、日本はしっかりと食い込んでいる【撮影/中安昭人】

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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