中国 2016年2月5日

今年も爆買いは続くのか?
春節がひとつの試金石に

 もちろん為替もそのひとつだが、もうひとつの要因として競合国の不振がある。ランンキングでも上位に位置する韓国では中東呼吸器症候群(MERS)の流行により、昨年6月から9月までの外国人旅行者数が激減。通年でも6.8%の減少となっている。中国人は、訪韓外国人観光客のおよそ4割を占めるので、その影響は大きい。

 買い物先として人気の香港も、一昨年の民主化デモの影響から立ち直るかに見えたが、昨年6月から減少が続いている。香港に隣接する広東省深セン市の住民に発行されるマルチビザ(正確には「通行証」)が4月から週1回の訪問に制限されたことに加え、10月に発生した中国人観光客への暴行事件が追い打ちをかけ、11月と12月はそれぞれ11.5%、15.5%と大幅な減少に陥っている。

 これらの減少分の何割かは、日本に流れているはずだ。ただ観光客はさまざまな要因で一時的に減少するものの、それがいつまでも続くわけでないのは、日本の東日本大震災後を見ても明らかだ。

 韓国も10月からは回復傾向にあるし、14年に軍事クーデターのあったタイでは、同年こそ中国人観光客の数は0.02%の微減となっているが、15年はプラスに転じた。韓国・香港が下げ止まるのも時間の問題で、この2カ国・地域の復調は日本に影響を与えかねない。

 ランキング圏外だが、ベトナムも侮れない存在になりつつある。中国と領土問題を抱えるベトナムは、関係悪化により中国人観光客の減少が続いていたが、15年7月から増加に転じた。その影響は航空輸送力の拡大に表れていて、航空産業リサーチ会社「OAG」発表のデータによると、15年11月の対中輸送能力の各国の伸長率比較でベトナムが前年比70%増と、圧倒的な伸びを示している(下グラフ参照)。

【出典/香港旅遊発展局】

 

 他の東南アジア諸国も中国人インバウンドには力を入れている。観光分野では新興国ともいえる日本が真の観光立国を目指すためには、こうしたライバル国・地域と戦っていかなければならないのだ。

 「日本のおもてなしのサービスや製品は群を抜いているから問題ない」という意見もあるかもしれないが、中国人消費者は日本人以上に移ろいやすい気もする。2~3年前、チーズケーキ専門のチェーン店が中国各地で大流行し、どこの店舗にも長い行列ができていた。それを真似た類似ブランドも登場したが、今では並んでいる人はいない。

 日本でも一部の企業は積極的に取り組んでいるが、中国人の爆買いを継続させるためには、中国人に受ける製品やメニューの開発など、さらなるマーケティングが必要なのではないか。

ベトナム中部、ダナンのハン市場には華僑の店もあるせいか、爆買いする中国人の姿が見られる【撮影/大橋史彦】

(文・撮影/大橋史彦)

著者紹介:大橋史彦(おおはし・ふみひこ)
福島生まれ、埼玉育ち。法政大学卒業後、編集プロダクションに勤務。2006年に中国移住。蘇州、北京、広州で現地情報誌の編集・制作に携わり、08年より上海在住。情報誌の編集長を経て13年9月よりフリーランス。日本のビジネス誌や書籍への寄稿も多数。

 


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