通常、民間保険の保険金は契約者本人に支払われるが、粒子線治療に関しては、かかった先進医療の技術料を保険会社が医療機関に直接支払うサービスも行われるようになっている。

 だが、いくら提携ローンを作ったり、民間医療保険の支払いの利便性を高めても、医療費の根本的な不安は解決できない。

 お金の心配をしないで粒子線治療を受けられるようにするには、科学的な裏付けのあるデータによって治療の有効性を示し、一日でも早く健康保険の適用を目指すことだろう。

 健康保険が適用されれば、高額療養費の対象にもなり、たとえ医療費が300万円かかっても、70歳未満で一般的な所得の人なら10万円程度の自己負担で済む。銀行でローンを組む必要もなければ、民間保険に加入する必要もない。

 それなのに、なぜか粒子線治療に関しては、保険適用のためのデータ収集は怠る一方で、患者にお金を支払わせる仕組みづくりばかりが熱心に行われている。こうなると、粒子線治療は最初から健康保険の適用など目指しておらず、「医療」という名のもとに、お金のある患者を呼び込むためのビジネスの様相を呈してくる。

やめるにやめられない
粒子線治療スパイラル

 粒子線治療は、2018年度の診療報酬改定までに、データの蓄積が求められ、なんらかの結論が出される予定だ。そこで既存の治療よりも高い有効性を示せなければ、健康保険への適用は難しくなる。

 粒子線施設は小型化が進み、以前よりも建設費用が下がったとはいえ、それでも数十億~百数十億円かかっている。これだけ日本各地に粒子線治療施設が作られてしまった今、たとえ既存の放射線治療よりも治療効果の優位性が示されなくても、簡単に引き下がることはできないだろう。

 健康保険が適用されなくても、すでに粒子線施設はやめるにやめられないスパイラルに入っている。

 2年後の保険適用のための先進医療会議で、粒子線治療にはどのような決断がくだされるのか。今から注視しておきたい。