アイデアの話をしましょう。ベネフィット、インサイト、ブランドパーソナリティほかブランディングのいくつかの要素を話してきましたが、結局のところ、手に入れたいのはブランドのアイデアです。

 では、アイデアとは一体なにか。それはどこに存在しているのか。そして、そのアイデアはどうやってつかまえるか。これがアイデアに関する、昔から語られてきた三大テーマです。

 また、アイデアは僕がテーマにしているブランディングだろうと、マーケティングだろうと、はたまた、そんなこととは関係なく、発明でも発見でもアートの世界でも、さらには個人的な生き方であろうと、大事なものです。

アイデアとは何か?

 アイデアとは何か。これにはいろいろな答えや答え方があると思うけど、僕はシンプルに「アイデアとは問題を解決するための解答」だと言っています。

 問題はいつでも、どこでも、誰にでも発生します。問題を抱えていない人やブランドや企業などありません。

 ブランドや企業が好調で、何も問題がないことだってある、そう思うかもしれませんが、好調の後に好調はなかなか来るものではありません。好調の後には、上げ止まりが来て、徐々に不調につながります。

 つまり、好調な時こそ次に備えるべきで、すでに次のアイデアを考える時なのです。それなら、結局問題はいつもあって、アイデアもいつも必要なんじゃないか、と思うでしょう。はい、そのとおり(笑)。生きている限り、ずっとアイデアを考え続けるのです。そうすると、脳が「アイデア脳」になって、アイデアが出やすくなります。

 また、アイデアを考える時に大事なことがあります。それは意識です。アイデアとは、「今まで誰も思いついたことがないすごいことが、頭の上に電球がパッと灯るようにひらめくこと」というお決まりのイメージがありますね。でも、僕たちは天才ではありません。普通に生きるただの人だから、誰も思いつかないことや、この世にないことなど思いつくわけがないのです。無理はいけない(笑)。

アイデアとは
蓄積されたものの組み合わせ

 アイデアは「ひらめき」ではなく、組み合わせで出てくるものです。つまりアイデアは、今まで頭に蓄積されたものの組み合わせです。