“海抜ゼロメートル地帯”を抱える江東区、川があり、ベイ・エリアがあり、水運がある。陸運もある。工業も強い。エネルギーに満ち溢れた成長期の区だ。人口が増えている区でもある。

 一方、深川や門前仲町など、下町情緒漂う町並みもあり、清澄庭園、亀戸天神社のような名所もある。職住近接の市街地と、有明や青海に代表される臨海地域が秘める潜在力は、限りなく大きい。

臨海エリアならではの名所がたくさん!
古きよき「水辺の記憶」が残る街

 江東区は35区時代の旧・深川区と旧・城東区が統合して生まれた。江東の「江」は川を意味する。その名に負うように、水辺と縁の深い区だ。東は荒川、西は隅田川、そして、南には東京湾が広がる。

 江東区の区域は、江戸時代初期から埋め立てが始まったところで、内部河川や運河が縦横に走っている。この水運を利用して、商業、農業ともに栄えてきた。

江東区――古きよき水辺の街が秘める「若い人口の急増」という意外なパワー

 今も目立つ産業の1つは、運輸業だ。事業所数こそ1300で23区中第5位だが、全産業に占める構成比6.7%は足立、江戸川両区に次ぐ3位となる。さらに従業者数となると、3万4700人と大田区に次いで第2位、同じく構成比も足立区に次ぎ2位となっている。

 さて、その運輸業の中から産業中分類別によって「水運業」を取り出すと、事業所数24、従業者数482人となる。大手企業の中枢管理機能が集中する都心3区に比べれば及びもつかないが、この数は都心3区を除けば事業所数1位、従業者数2位となる。

 ここから、江東区は江戸時代以来の水運の伝統を今も継承しているかに見える。しかし、それ以上に大きなものは「東京港」の存在だろう。

 年間入港船舶数3万1000隻、取扱い貨物量8763万トンに及ぶ東京港の港湾施設は、数区にまたがっているものの、青海コンテナ埠頭、辰巳埠頭、お台場ライナー埠頭、10号地埠頭など、重要施設の多くが江東区内にある。