外部パートナーを「下請け」扱いする会社で新しいアイデアは生まれない最近は、外部ブレーンと社内メンバーが一緒に企業の課題に取り組むことが増えている

 学校を卒業して会社(リクルート)に入ってしばらくたったころ、先輩から、

「“外部ブレーンさん”に意見をもらうといいよ」

 と言われた。

 外部ブレーンさん? なんだそれ? と首を傾げた人も多いと思う。入社したばかりだった私も、同じように感じた。

「外部ブレーン」とは、リクルート固有の呼び名ではない。「外部ブレーン 募集」などのワードで検索すると、たくさんのページを見ることができる。狭義の「外部ブレーン」とは、具体的にはライターやデザイナー、プランナー、カメラマンなど、フリーランスで働く人たちのことだ。広義には、印刷会社や調査会社の社員、コンサルタント、ファイナンシャルアドバイザー、弁護士など、共同してプロジェクト運営に携わってくれる人のことを言う。たとえば雑誌やWEBメディアが世に出す編集記事や広告は、実際には様々な知見と経験を持った社外の「外部ブレーンさん」に助けられて制作されている。

 彼ら・彼女らとの関係は、「企業側が仕事を発注して、労働力と知恵を提供してもらう」という、お金の流れだけで言えば「元請け」と「下請け」だ。しかし、仕事上の関係性を考えると、単純にそうとも言い切れない。逆に、彼らがものすごい「先生」で、企業側が「生徒」として教えを乞うているわけでもない。彼らは、専門性を持ってプロジェクトに参加してくれている「仲間」のような存在だ。あえて呼ぶなら「横請け」の関係だろう。お金のやり取りがあるからと言って、上下関係のようなものはあまりないからだ。

企業と外部パートナーの関係は
「元請けと下請け」or「先生と生徒」?

 しかし、このような関係性の外部パートナーを持つ仕事のやり方は、特殊な部類に入るのだろう。私はたまたま「外部ブレーンさん」と仕事をする環境で育ったものの、いざ自分が「外部」の立場になってみると、多くの企業が「元請けと下請け」もしくは「先生と生徒」という上下モデルしか持っていないことに驚かされる。