インドネシア 2016年3月16日

1月14日、ジャカルタで起きたテロ爆発に遭遇!
2カ月経った今、ようやく日常を取り戻しつつあります

●翌日(1月15日)

現場となったビルの封鎖のため、会社も休業となりました。家にいても頭の中がぐちゃぐちゃのままでどうにもならず、ふとした瞬間に涙がこぼれました。

そして、このまま怯えていたら家からずっと出られなくなり、仕事に復帰できないのではないかと思い(今思えばなぜそんな風に考えたのかわからないのですが)、勇気を振り絞り現場まで献花に行くことにしました。

タクシーで爆破現場に近づくにつれ、手に汗をかき、涙がこぼれましたが、ビルの少し手前で下車し、報道陣の間を抜け、現場であるスタバへ向かいました。報道によると店内でも自爆テロがあったため、爆風で店内はぐちゃぐちゃ、ガラスはすべて粉々に割れていたようです。

毎日通っていたこのスタバは24時間営業だったので、シャッターが下りているのをはじめて見ました。私の日常はテロに奪われたのだ……そう思いました。

 以上が、2016年1月14日・15日に私の身に起こったすべてです。

爆破翌日のスタバ。24時間営業なのでシャッターが閉まった姿を初めて見ました(1月15日)【撮影/長野綾子】

ようやく戻りつつある日常を感じて

 テロって何でしょうか? テロに巻き込まれて亡くなった人、またその家族のことを考えたり、爆破されたスタバを見て悲しい気持ちになるのですが、テロリストを憎む気持ちにはなれず、もちろん擁護する気にもなれず。ただただ私たちの日常を奪われた悲しみしか感じませんでした。

 テロに負けない!と世界中で言われている言葉の意味(インドネシアではKami tidak takut!と表現されています)が、今まではピンと来なかったのですが、テロリストと銃で戦うなどということではもちろんなく、「何があっても私たちは日常を取り戻すのだ」という強い気持ちを持つこと、これがテロに負けないこと、テロと戦うことなのだと思いました。

 ほんの数日で、爆破された警察署は新しくなり、2週間ほどでスタバも再オープンしました。テロの傷跡を早く人の目からなくすよう、政府から指示があったとも聞いています。

 スタバ再オープンの午後、店内にも外のデッキ席にもインドネシア人の姿がありました。爆破されたスタバの後に、またスタバをオープンすることも信じられなかったのですが、テロから数週間で再オープン、来店するインドネシアの人の心の強さに驚き、感心しました。

 テロ翌日献花に行った際にも驚いたことがあります。スタバ前の駐車場で2名のテロリストが自爆したようなのですが、その現場には手向け用の花びらが現場処理の人によりまかれていました。これが宗教的な考え方なのかインドネシアの文化なのかわからないのですが、テロリストでも命を落とした人には花を手向けるインドネシア人の心の広さと深さにも感動しました。

 今回の件を通じてわかったのですが、正確な情報が入らないことが何よりも恐怖であり、パニックの原因でした。ジャカルタのあちこちで爆破テロがおきていると誤報を流したテレビ局があったり、LINEやツイッターでも犯人が車に乗って銃を乱射しながらジャカルタ南方面へ逃走している……など、人々の恐怖をあおるようなデマが正確な情報よりも早く、しかも大量に入ってきます。

 テロや非常事態に遭遇したときには(日本人はテロと気づかないと思いますが)、情報をどうやって精査するか判断するか、ということが本当に大事なのだと思います。難しいですが。

 その他、できる備えとしては

・オフィスには逃げやすいスニーカーなどの靴を置いておく

・携帯電話は通信会社により通じたり通じなかったりするため、携帯を2台持っている場合は別々の通信会社と契約しておく

・携帯以外のインターネットツール(パソコンかタブレット)を持っておく

・充電器を持っておく(停電するとアダプターがあっても充電できないので)

・安全確認のメールやメッセージが大量に入って来て、個別に対応するのは大変なので(充電ももったいないです)、フェイスブックやツイッター、WhatsAppやLINEのグループでまとめて知らせるツールを持っておく

 これらは、地震などの備えとしても、有効なのではないでしょうか。

●その後……

3月6日、再オープンしたスタバにやっと足を踏み入れることができました(再オープンしたらすぐにでもと思っていたのですが、どうしても足が向きませんでした)。カウンターには事件前に働いていたバリスタの姿と明るい笑顔があり、勇気をもらいました。幸い、スタッフ全員、無事だったそうです。私の日常が少しずつ戻ってきた気がします。

(文・写真/長野綾子)

著者紹介:長野綾子(ながの・あやこ)
1976年生まれ。日本語教師としてインドネシアと出会い、2005年からグローバル人材紹介会社JACリクルートメントで、日系企業・日本人求職者のサポートを担当。ジャカルタ在住8年。

 


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