通勤通学経路、あるいはその近辺に適切な中型書店も大型書店もない場合、買うのはAmazonなどのネット書店やリアル書店が運営するネット通販しかない。その場合、直接の観察は不可能だ。まったく選択眼を養えない。さてどうするか(文中敬称略)。

Amazonの推薦図書に頼りすぎず
複数のネット書店で検索する

ネット書店と古本屋で本の選択眼を鍛えるワザ

 書店がない場合、ネットで探すことになる。カタログ上、生きている本(絶版になっていない本)は、どのネット書店でもすぐに買える。これ以上のノウハウはない。ピンポイントで探して購入する場合、ネット書店は超便利である。しかし、ざっくり観察するのは難しい。

 Amazonの場合、検索の履歴から「推薦図書」が大量に出てくる。コンピュータの推論は日々発達しており、驚くほど自分に関心のある領域の本が画面に並んでいるように錯覚する。AI(人工知能)が進化すれば、ますます多くの推薦図書が大量に並ぶことになるだろう。自分の思考を先回りして出て来るので驚くが、よく観察すると、当たっている本はごく一部で、大半は外れている。自己の意識は刻々と変化しているからだ。コンピュータに依存しすぎてはいけない。Amazonの推論に従ってばかりいると、自分の判断のポイントが行方不明になってしまう。

 自己を確認しておくためには、まず複数のネット書店を検索することだ。なるべくざっくりしたキーワードがいい。検索結果が多すぎたら、キーワードを加えて減らす。それでも、次から次へと無限に出てくるのでおぼれてしまう。そこで、リアル書店の店頭歩きのように、10分、せいぜい20分以内でやめておくほうが脳の健康のためにはいい。

 Amazonでは絶版品切れの古本も「中古」に登場する。これは非常に便利だ。古い本を入手する場合は3つのサイトで探すといい(図書館のデータベースも使うが、図書館については次回)。

 第1に「日本の古本屋」だ。このサイトには全国古書籍商組合連合会の加盟2300店のストックが登録されている。すべての店がデータを登録しているわけではないが、計600万点が収録されているという(資料やレコードを含む)。国会図書館の書籍蔵書数が約1100万点だから、なかなかの規模だ。

 第2に「スーパー源氏」。株式会社紫式部が運営する古書店のポータルサイトで、インターネットが日本で普及を始めた90年代半ばからサービスを提供している老舗である。収録数は不明。

 第3に「Amazon」の「中古」。Amazonの場合は新品の本や電子書籍と同時に出てくる。古本屋も個人も出品している。以上の3者へ同時にデータを出している古本屋もあると思われる。