「おっきい肩幅やな……」

一流と二流の差は「逆境での振る舞い方」に現れる『熱狂の四天王プロレス』
小橋 建太著 ワニブックス 1728円

 これが、私が都内某所のこじゃれたカフェで、そこらへんの恐竜では到底かなわないであろう巨大な肩幅を誇る、小橋建太氏に出会った時の第一印象である。

 小橋建太氏といえばプロレスファンでなくても有名な方で、最近『小橋建太・熱狂の四天王プロレス』を上梓されるなど様々な著作活動も積極的に行っておられるわけだが、さまざまな分野の一流のプロフェッショナルに会いたいという私の思いから今回、小橋氏にお目に掛かることになった。

 私が小橋氏の働き方から皆さんにお伝えしたいのは、巨大な上腕二頭筋の作り方ではなく、「最後までやり抜くグリット」の育みかたである。

あきらめない反骨精神と、天職を引退した後の第二の青春探し

 グリットというのは今やすっかり有名になった非認知能力の概念で「あきらめず、最後までやり遂げる能力」のことを指す。私の新著『一流の育て方~ビジネスでも勉強でもずば抜けて成功する子供を育てる』の第三章すべてをその「グリットの具体的な伸ばし方」に費やすくらい、一流のプロフェッショナルに共通する重要な資質である。

 ここで小橋氏に話を聞きたいと思ったのは、アスリートで復帰前例のない膝のけがを負っても、首に生死にかかわる大けがを負っても、がんで病に伏しても、常にあきらめず、リングに復帰して全力ファイトをする姿勢に、胸を打たれてきたからだ。

 また、あれだけ全力を注いで愛していたプロレスから引退し、“第一の青春”が終わった今もなお、多くの元・一流アスリートにありがちな、目標を見失って下り坂を転落するということ(清原元選手が代表)を微塵も感じさせないところが凄い。

 大好きな一つ目の天職から引退した今も、第二の青春のために全力で挑戦している姿に、多くのビジネスパーソンが学ぶべき本質的なプロフェッショナリズムを見出したからである。