新聞を見ていると「延期」だが…
そうならなければ株価は暴落する

消費増税がやはり延期されるべき現実的な理由消費増税延期は「期待」(≒予想)として既に相当織り込まれている

 2017年4月に予定されている消費税率の10%への引き上げが、延期されるのではないか、という観測が方々で流れている。一国民としては、消費税率が「どうなるのか」を予想しなければならないし、同時に「どうすべきなのか」を考えて、声を上げるなり、投票行動に反映させるなりしなければならない。

 まず、「どうなるのか」に関して、筆者は「政府によって延期されるだろう」と予想している。政治と経済の状況から見て、前々から、「延期だろう」と思ってはいたが、確信を深めたのは、3月18日(金)の新聞を見た時だった。

 この日の朝刊、『読売新聞』は1面トップで「消費税先送り検討 首相 経済減速に配慮」という見出しの記事を載せた。『朝日新聞』には、消費税に関する政府関係の記事は全くなく、『日本経済新聞』は首相官邸が米国から招いたスティグリッツ教授の意見を「マイナス金利効果に限界 成長を促す財政支出を」という見出しで2面に紹介していた。

 朝日新聞社には申し訳ないが、「読売が書いていて、朝日が書けていない安倍官邸ネタは、近い将来、読売が書いた通りに実現する」というのが、筆者が当面意識している「経験則」である。その後、『朝日新聞』も「首相、消費税先送り検討 サミット前後判断か」という見出しの記事を1面トップに載せたのだが、これは、読売に遅れること実に8日目の3月26日(土)の朝刊である。

 新聞は比べて読むと役に立つ。消費税率引き上げの延期が実現したら、筆者は、ますますそう思うようになるのだろう。

 もちろん、新聞読みの経験則は、そうなるはずだという「根拠」になるものではない。しかし、(1)スティグリッツ氏やクルーグマン氏を呼んで話を聞いておきながら、消費増税を「予定通り実施」というのでは格好がつかないし、(2)与党側としては野党・民進党が消費増税反対であることとの政治的利害のバランスを考慮しなければならないだろうし、そして何よりも、(3)「消費増税延期」が市場関係者の「期待」(≒予想)として相当程度織り込まれていることを考えると、「消費増税延期は無し」というのは、事実上もう無理だろう。脅すわけではないが、株価は暴落し、参議院選挙で与党は苦戦するだろう。