「伏魔殿」と揶揄される都市再生機構(UR)。天下りや関係会社への競争性のない随意契約、非効率性、そして不透明な組織運営を改革する動きが始まっている。

 監督官庁の国土交通省では、今年2月に前原誠司国土交通大臣の「解体的な見直し」という指示により、「都市再生機構のあり方に関する検討会」が発足。12人の有識者によって今後のURの組織運営について検討され、報告書が作成される。報告書には複数の選択肢を提示し、最終的に前原大臣をはじめ、政務3役による政治判断が下される。

 当初、6月末に報告書を出す予定だったが、参院選の影響などでずれ込み、遅くとも8月末には報告書が出る見通しだ。

限られる選択肢
課題は負債処理問題

「URの再生はそう簡単に進むとは思えない」。公共事業と都市整備問題に詳しい法政大学の五十嵐敬喜教授は言う。

 きわめて単純化すれば、想定される新たな組織の選択肢は、三つの方法に大別される。

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 一つは現在の独立行政法人のままでガバナンスなどを強化し、事業の効率性や組織の透明性を高める。二つ目は、賃貸住宅事業などを完全民営化(民間売却、分割民営化を含む)する。そして、三つ目は国が新会社の株を保有する株式会社化、JRのような「特殊会社」の設立だ。

 しかし、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の安蒜信彦シニア・クレジットアナリストは「負債処理問題が最も大きな障害となる。結局、厳しい財政事情、居住者対策を考えれば、選択肢はそれほど多くはない」と予測する。