菅直人首相は、国会開幕前に異例の記者会見を行った。

 その意図は定かではないが、彼の性格からして、何らかが仕組まれた“先制攻撃”に違いない。

 どうやら、その核心部分は、「税金の無駄遣いをなくすための国会議員の定数削減」であろう。

 8月2日の衆院予算委員会でも、その方向にさらに一歩踏み込んだ。

 衆院で80議席、参院で40議席の定数削減について「(民主党に)12月までに与野党合意が得られるように努力してほしいと指示した。国会議員が自ら身を切る姿勢で、できるだけ年内には実行できるようなテンポで議論をすすめてもらいたい」と述べたのだ。

 これを私は、菅首相の起死回生の大政略と受け止めている。開会前の記者会見を強行しようとしたとき、はっきりこれを予想したからである。だが、こんな政治手法は、既に私ばかりでなく、多くの人に見破られている。

菅首相が起死回生の大政略で狙う
「政治効果」とは

 注意すべきは、この削減は主として比例区を対象としていること。

 菅首相は、この政略によって次のような政治効果を狙っている。

(1)自民、民主の「二大政党を固定化」すること。

(2)新党など、第3勢力の躍進を阻むこと。

(3)定数削減によって、大幅に政治が身を切っているポーズを示す。

(4)それが先送りされれば、天下り問題や公務員総人件費の削減を先送りする口実にできること。

(5)みんなの党など「増税の前にやるべきことがある」という主張を封じ込めること。

(6)特に、自民党が同調する可能性が高いこと。