最近の若者は、借金してでも社会貢献をやりたがる。そんなことをレポートしたのはほぼ1年前。この連載の第3回目の記事だった。

◎第3回記事(2009年8月18日公開)
途上国への学校建設から地雷除去まで。借金してでも「社会貢献」にハマる若者たち

 借金してでも途上国のNGOの活動を体験したり、チャリティ・イベントを行う若者たちの姿をお伝えしたが、このレポートは大反響を呼び、すでに25回を超える当連載でも、いまだにアクセス数トップの記事である。

 クルマや洋服ならともかく、なんで借金してまで「社会貢献」を買うのか。多くの大人は理解できないという反応を示したが、逆に若者たちからすれば、なんで借金してまでクルマや洋服を買わなければならないのか理解できないだろう。今の若者と大人の間には、それほど大きな意識のズレがあるのだ。

 若者たちの社会貢献熱は、その後もヒートアップ。大学生が主催する社会貢献イベントもどんどん増えている。規模も拡大するいっぽうだ。

学生1200人が集結!
チャリティ大運動会

 「SWITCH」という学生団体は、9月6日に等々力アリーナを貸し切って、学生1200名参加の大運動会を開催する。参加費2000円から会場・運営費を差し引いた残りの全額が、バングラデシュでストリート・チルドレンを支援するNGO「エクマットラ」に寄付される。今年で2回目。昨年は35万円を寄付したが、今年は50万円の寄付をめざすという。

 「SWITCH」は、明治大学3年生の吉田勇佑君が昨年3月に立ち上げた団体だ。「楽しいこと」を入り口に「ボランティア」に関心を持ってもらうことを方針として活動している。運動会という誰でも参加できるスタイルにこだわり、スポーツイベントに力をいれている。またセミナー、交流会も行っている。

ますます過熱する若者の社会貢献ブーム。就活シーズン直前、「社会貢献でメシが食いたい」大学生激増中!昨年開催された第1回チャリティ運動会の様子(写真左)。誰でも参加できる「運動会」というスタイルにこだわる。代表の吉田勇佑君は、「楽しいことを入り口に、多くの学生にボランティアに興味を持ってもらいたい」と語る(写真右:中央にいるのが吉田君)。

 9月7日には、福岡産業振興協議会および他の学生団体との共同開催で「次世代リーダー緊急会議」というシンポジウムも行う。日比谷公会堂に2000名を集める、こちらも大きなイベントだ。第1部のトーク・ライブでは、参議院議員の松田公太氏とマザーハウス代表で社会起業家として有名な山口絵理子氏を迎える豪華版。参加者のリクエストにより決定される特別ゲストも参加予定だ。

 等々力アリーナの運動会といい、日比谷公会堂のシンポジウムといい、SWITCHが開催する社会貢献イベントは千人単位の大きなものになっている。学生は他の学生の成功事例をすぐに真似するので、今後の学生主催の社会貢献イベントはますます大規模なものになってくるだろう。

 かつてのバブル時代。学生パーティー・サークルが全盛だった頃は、六本木のディスコをすべて貸し切った「学生2万人ディスコ・パーティー」といった巨大イベントも開催されたことがある。学生社会貢献イベントも、来年あたりは5000人規模を突破し、いずれ1万人、2万人規模のイベントを実施するようになるだろう。

◎学生団体SWITCHについての情報、お問い合わせはこちら
ブログ http://ameblo.jp/switch012/
Eメール switch.012@gmail.com

「就活」にも社会貢献の波。
学生と企業の間にギャップも

 さて、学生がこれだけ社会貢献に熱心なら、「就活」も社会貢献を意識したものになるはずだ。