元・フィリピン退職庁(PRA)ジャパンデスクで、現在は「退職者のためのなんでも相談所」を運営する、フィリピン在住19年の志賀さん。フィリピン人気質や性格を知り尽くした志賀さんでも、いまだに見過ごせないフィリピン人の癖とは?
このコラムで何度か紹介したが、私はいまフィリピン人の大家族といっしょに暮らしている。“女主人”のジェーンは私のビジネスパートナーでやり手のビジネスコンサルタント、夫は国家警察の幹部、長男のKIAN(6歳)と、夫の連れ子のキムの4人家族のはずなのだが、そこにジェーンの兄弟の子どもや従兄弟、実家のあるビコールの農場のメイドまで、いろいろな親族・関係者が寄宿しているのでなにがなんだかわからなくなる。
私はこの家でダダ(おじいちゃん)と呼ばれているのだが、彼らとの暮らしの中で「これだけはいっておきたい」ということを今回は書きたい。彼らに代表されるフィリピーノの「変えてほしい七癖」だ。
■その1.フィリピーノタイム
最近、KIANの誕生会があったのだが、出かける時間になっても誰も外に出てこない。とくにメイドの2人は、一緒に出かけるということさえも知らされておらず、結局、私は外で30分も待たされる羽目になってしまった。
これはいつものことで、約束した時間に出かけるのではなく、約束した時間に準備をはじめる。だから「遅れるのは当たり前」「遅れて何が悪い」という発想になる。これがフィリピーノ・タイムだ。
このいい加減さがストレス・フリーの社会のゆえんなだろうが、当方はストレスが絶えない。
■その2.フィリピン流食事法
ご飯にスープや料理のたれをかけて味付けをして、もっぱらご飯をかき込むのがフィリピン流食事法だ。おかずは一切れの魚か肉、あるいは野菜で十分だ。
幼いKIANもそれを見て、ご飯にしょうゆ(キッコーマン)をかけ、手でつまんで食べる(手で食べるのはカマヤンといい、フィリピンでは正統な食べ方)。母親のジェーンから「塩分のとりすぎ」ととがめられると、KIANは食事ができなくなってしまう(あるとき私も真似をしてみたら、キッコーマンご飯は確かにいける)。
KIANの主食はラーメンと焼きそば。最近までインスタントラーメンを常食にしていたが、これについてもジェーンからクレームがついた。インスタント食品は添加物の宝庫だから健康に良くないと。
そこで、冷凍の生めんとたれを日本食材店から買い求めて私が料理した。インスタントラーメンの味になれたKIANはちょっと不満げだが、豚骨スープは大いに気に入ったらしい。
しょうゆかけご飯かラーメンが用意されると、KIANが次に大声で頼むのがWATER with ICE(氷水)で、氷がないと我慢できない。最近よく中国流の火鍋屋に行くのだが、そこで食べるのはヌードル、ライス、それにイカボールだけで、一皿ずつを独り占めにする。もちろんWATER with ICEは欠かせない。

■その3.メイドの流儀
前のメイドがいなくなってしまったために、ホリーウイーク明けに、ビコールの農場にいたメイドと見習いを連れてきた。メイドが変わるたびにイラッとすることがいくつかあるが、今回も例外ではなかった。
(1)風呂場にある洗濯かごにたまった洗濯物をメイドが洗濯場に持っていくのだが、その後、決して洗濯かごが戻らない。したがって、新しい洗濯物は床に放り出す羽目になる。洗濯かごが戻るのは数日後だが、場合によってはそのまま戻ってこないこともある。
(2)部屋のゴミ箱がいっぱいになってもなかなか捨ててもらえない。たまに片付けてくれたと思うと、ゴミ箱が戻ってこない。あるいは別の場所に戻されてしまい、見つからないので、床にゴミを捨てるはめになる。
(3)シャワーのあと、濡れた足でタイルの上を歩くのがいやなので、足拭きマットをシャワールームのすぐ外に置いている。それをわざわざ廊下に置きなおす。それがフィリピンの常識らしいが、何度中に入れても翌日は廊下に出ている。
(4)洗濯された衣類、タオル、くつしたなどは置き場が決まっているのだが、メイドが変わると自分の好みで適当なところに戻す。服を着ようと思ってもどこにあるかわからず、部屋中を探すことになる。
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