金融機関が殺到する仮想通貨技術「ブロックチェーン」の現在

 フィンテックでもっとも重要と考えられているのは、ブロックチェーン技術の応用だ。これは、ビットコインなどの仮想通貨の基礎技術である。

 仮想通貨にとどまらず、広い応用範囲を持つ。それが、金融業務、さらにはビジネス全般に革命的な変化をもたらすと認識され始めた。

 とくにこの数ヵ月、雪崩現象といってよいほどの急激な動きが見られる。まだ実験段階であり、実際のビジネスに影響を与えているわけではないが、金融産業が将来大きく変わることを予感させる。

インターネット並みに世界を変える
中央集権的な管理者なしのブロックチェーン

 もしも、経済的な価値を仲介者なしに地球上の任意の相手に送ることができれば、世界は大きく変わるだろう。そのことがいま、ブロックチェーン技術によって実現されようとしているのである。

 これは、情報の通信においてインターネットが登場したことと似ている。それまでの情報通信は電話や郵便のように中央集権的な管理機関が存在し、情報伝達を仲介するする役割を担っていた。そのため、コストがかかる仕組みであった。ところがインターネットによって、この状況が大きく変わった。インターネットには中央集権的な管理機関が存在せず、情報を世界中の誰にでも直接送れる。このため、コストが著しく低下した。

 マネーなどの経済的な価値の移転について言えば、これまでは銀行などの中央集権的な管理主体が仲介を行なっていた。このために多大のコストがかかっていた。ブロックチェーンは、中央集権的な管理者なしに経済的価値の移転を可能にすることによって、経済活動に大きな変化をもたらすのである。

 ロンドンに本拠地を持つ世界最大級のプロフェッショナルサービスファームであるPwC(プライスウォーターハウスクーパース)は、「ブロックチェーン技術の意味はきわめて深遠なので、その応用によって、われわれが知っている形のビジネスは革命的に変わるだろう」と述べている。

不正な取引等をチェックする
「公開台帳」という仕組み

 ブロックチェーンはまったく斬新なアイディアなので、最初はきわめてわかりにくい。

 これまでであれば、すべての取引を中央集権的な管理主体が管理する。そして誤った取引や不正な取引がないことをチェックする。このために、大変な人力とコンピュータサービスが必要になる