12時間拘束でも日給はたったの5000円
この20年でプロの時給は暴落

 こうした謝礼交際の蔓延に頭を悩ませているのが性風俗業界だ。今、性風俗業界は、かつてのような「女性が稼ぐ最後の砦」ではなくなりつつある。意を決して性風俗産業に身を投じたところで、生活していけるほど稼げなくなってきているのだ。兵庫県神戸市内にあるソープランド店長が明かす。

「今では、女性が客を1人とってもせいぜい5000円程度です。でも1日で5000円稼げれば、まだいい方です。なかにはお茶引き――まったく客がつかない子もいますから」

 性風俗産業で稼げたのは、せいぜい20年くらい前までの話だ。当時、格安店でも90分・3万円くらいの店が多かった。そこに平日、それも雨の日でも30人くらいの客がやってきたという。今では平日なら7、8人ということも珍しくはない。加えて客単価もバブル崩壊後の「失われた20年」で大きく下がった。20年前のソープランド料金は、先述の通り、90分・3万円が格安とされていたが、今では60分で1万2000円、なかには1万円の店もあるという。性器間接触こそないが濃厚な性的サービスを提供するファッションヘルス店だと格安店の場合、1時間8000円が相場だ。

 客が支払う代金のうち6割が店側、4割が女性側の取り分だ。かつては折半が常識だったが、近年ではこの割合が相場だという。冒頭部で紹介したファッションヘルス店長が語る。「1日12時間店舗に拘束され、それでも5000円も稼げない女性も多いです。しかしSNSを使えば、うまくいけば1日で1人相手をするだけで2万円くらいになりますね。これでは性風俗店で働こうという女性はいなくなってしまうのも頷けます」

 さて、謝礼交際を行う既婚女性たちの最大のウリは、プロはだしのサービスと、時には特殊性癖をも厭わない姿勢だ。従って、こうした特殊性癖を扱う店舗型SMクラブも、謝礼交際主婦たちに侵食されている。大阪市内のSMクラブで働く既婚女性、アカネさん(41)が語る。

「相場は1時間・1万2000円です。私の取り分は店と折半で6000円。しかし道具は自前で揃えなければなりません。コスチュームや鞭などの諸道具も一式揃えるとなると20万円くらいかかります。この費用を回収するだけでも大変です」。SMクラブでは、客をいじめる役割を演じるS(サディスト)役のみならず、いじめられる役割を演じるM(マゾヒスト)役でも、衣装、縄、鞭、蝋燭などの道具代は女性側が負担するケースが多い。店側とは雇用契約ではなく、店との“請負”契約だからだ。

 一方、冒頭部で紹介したユウコさんは、「(SMプレイなどに使う)道具、衣装のすべては友人(交際相手)が全部揃えてくれた」と話す。プロであるアカネさんの自己負担とは対照的だ。

 援助交際にも似た謝礼交際を行う女性たちの出現で、ただでさえ市場がシュリンクしている性風俗産業は、ますます斜陽化が進んで行くのかもしれない。実際、業界関係者の危機感は相当なものだ。