日本の外食産業の成熟ぶりは著しく、今や“味がよければ客は集まる”という法則は、必ずしもあてにならなくなった。かねてからのデフレ基調で価格競争が激化する一方で、各店舗にはこれまでの常識を覆すサービスが求められている。酷暑が続き、ビール商戦真っ只中のこの時期、「安くて旨い」に加えて奇抜なアイデアで集客する「ユニーク居酒屋」にスポットを当ててみよう。「最近、お客の入りが悪い」と嘆く外食関係者は、参考にしてみてはどうだろうか。(取材・文/友清 哲、協力/プレスラボ)

多種多様なテーマパークレストラン
暑気も吹き飛ぶサプライズ演出が人気

「不況は底を打ったと言っても、まだまだお客さんの財布のヒモは固いです。賑わっている繁華街はたくさんありますが、限られた顧客を膨大な店舗が奪い合っている競争過多の状況ですから、どこも実入りは良くないと思いますよ」

 そう語るのは、最近、鹿児島県で新店をオープンしたばかりのある居酒屋店主。ビールを売るにはうってつけの酷暑が続いているが、顧客の低価格志向の高まりも手伝い、商売は決して楽ではないという。

 それでも、様々なアイデアを駆使して大量のお客を集める「強者」が、次から次へと現れるのが居酒屋業界。時折、びっくりするようなサービスを展開する店に出くわすことがある。今や「安くて旨い」のは当たり前。それに加えてお客を魅了する「アイデア」が充実していないとお客を確保できないという時代になっている。

 現に、この夏の猛暑で客足を伸ばしていると報じられる外食産業のなかには、そういった「ユニーク居酒屋」が多い。特徴は、日本全国に画一的な店舗を張り巡らす大手チェーンにはない独創性を持っていること。商売繁盛のポイントは、どこにあるのか?