6年ごとに行なわれる大統領選は、フィリピン人にとって一大イベント。今年の選挙の様子を、元・フィリピン退職庁(PRA)ジャパンデスクで、現在は「退職者のためのなんでも相談所」を運営する、フィリピン在住19年の志賀さんがレポートする。
5月9日の統一選(大統領選)は、事前の支持率調査のとおりダバオ市長ロドリゴ・ドゥテルテ候補の圧勝に終わった。それから2週間、新聞では毎日、ドゥテルテ新大統領に対する期待の記事が掲載され、選挙前の批判・懸念の記事はほとんどない。巷の人々も民主的に選ばれた大統領ということで、まずは期待の目で見守ろうといういう声が多く、国民そして政財界が新大統領を受け入れた格好だ。

一方、副大統領は現政権の信任を得た女性のレニ・ロブレド候補(現下院議員)が僅差で当選を決めたものの、対立候補で”独裁者”マルコス元大統領の息子フェルディウンド・マルコス候補(現上院議員)は選挙集計に不正が行なわれたとして追及の構えを崩さず、いまだ泥仕合の様相を呈している。しかし、悪あがきといった見方が一般的だ。
その他注目すべきは、上院議員選挙でボクシング界の英雄マニー・パクヤオ(パッキャオ)候補(現下院議員)が12名の改選に対して第7位で当選を確定した。
広域マニラの主要都市マカティ市長選では、ジェジョナール・ビナイ副大統領(今回の大統領選で敗北)の次女アビー・ビナイが当選したが、ベニャ候補(現市長)を支持する市職員が選挙に不正が行なわれたとして職場を放棄するなどの混乱が生じている。さらにフィリピンで初めてとなるトランスジェンダーのジェラルディン・ロマンがルソン島バタアン州から立候補し下院議員に当選した。


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