海外資産保有申告者はわずか約8000人、
相続総資産に対する相続税はたった2%

 パナマ文書に登場する日本の企業や富裕層の個人名はわずか400余に過ぎないが、これは日本の企業や富裕層の多くが、タックスヘイブンとしては免税の面で「最強」であり、秘匿性の面で「本丸」とされているカリブ海上のケイマン諸島を利活用しているためである。BIS(国際決済銀行)の発表によると、2015年の時点で同諸島に投じられた日本の資金量は63兆円に及んでいるが、これは日本の国税総収入にも匹敵する巨額な資金量であり、無視はできない。

 日本には、億万長者がおよそ100万人以上はいるとされており、5000万円以上の海外資産を保有する者には申告する義務を負わせているが、正直に毎年申告している者は、今のところわずかに約8000人しかいない、とされている。仮に、100万人の億万長者が全員海外資産を保有していたとして、申告者がそのうちの約8000人なら1%以下だ。これはあまりにも少なく、非現実的な数字である。実際には、申告者のおおよそ10倍から数十倍はいるものと見られている。しかし、これらの富裕層の海外資産には、タックスヘイブンの秘匿性の厚い壁に阻まれて、日本の税務当局が接近し、介入できる余地はない。

 このため、所得や資産を海外に移せるレベルの富裕層の99%以上がまともに税金を払わずに済んでおり、それができないレベルの非富裕層に租税の負担が押し付けられ、しわ寄せが起きているのが現実である。日本の徴税体系が長い間、国際的な大がかりなからくりに絡め取られ、ほとんど野放し状態で続いてきていることの方が不思議ではないか。

 相続税逃れがその典型例である。パナマ文書で明かされた安全保障会社セコムの創業者・飯田亮最高顧問とその親族をはじめ、5年前にマスコミを賑わせた消費者金融の武富士の創業者・武井保雄元会長夫妻などは、タックスヘイブンを利活用して、相続税などの「税金逃れ」に成功した億万長者の事例である。武富士に至っては、当時の贈与に関する「海外の財産は、海外在住の人に贈与する場合は贈与税がかからない」という特例の抜け道を利活用して、無税ですり抜けた強者である。長男へ贈与した株式の時価総額は、推定2600億円。普通に贈与していれば、1300億円の贈与税を支払わなければならないところを無税で済まされては、税務当局としても無念であったに違いない。