6万人以上の日本人が暮らし、年間120万人以上の日本人旅行者が訪れる国「タイ」。そこで人生の最期を迎える日本人も年間100人弱いるという。バンコク発ビジネス・生活情報誌『DACO』編集部が、タイで日本人が死亡した場合に起こる様々なできごとを取材した。大好評を得た前半につづき、今回は埋葬と遺産の問題。
タイでの老後暮らしを選択するひとのなかには、文字どおり「タイに骨を埋めたい」と考えるひともいるだろう。タイで起こる死と遺体の扱われ方を中心にした前編に引き続き、今回はタイでの遺体の供養と遺産の扱いについてご紹介します。
散骨での供養は?
日本ではまだ馴染みの少ない「散骨」だが、タイでの散骨を希望する人もいるだろう。今回、海軍兵学校によるボランティア活動の一環としての「散骨式」に参加させてもらった。
散骨に当局の許可や決まりごとはない。故人を偲び、遺族が納得してさえすればいい。僧を呼ぶ呼ばないも、遺族で決める。

午前10時:散骨式開始
まず、7本の線香と花で水の女神に散骨の許しを請い、線香と花を船の舳先に。骨壷をもって遺族が船に乗り込む。漁船の姿も。

10時35分
所定の場所に着くと散骨の準備。かもめが水面に飛び交う中、骨壷のふたを開ける。


10時40分
8本の線香に火を灯し、1本は遺骨に、ほかの7本は7つの海に捧げる。遺骨に花びらを散らしてから香料を交えた聖水を振りかける。参列者全員が同様に行ない、バラを手に席に着く。

10時47分
骨壷の蓋をかぶせて布で包み、花輪をかける。担当者が短めのお経を唱える。遺族はバラの花を持ちながら合掌してお経を復唱する。お経終了後、「墓地代」として7つの大陸を意味する7枚の硬貨を川に流す(硬貨の種類は問わない)。


10時50分:終了
骨壷に入った遺骨を川に流し、水の女神と土の神に遺骨をお守りくださいと請う。水の女神に許しを得て遺骨に語りかける。最後に、灯篭と花を流して散骨終了。

11時30分:帰還
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